塩川秀敏・福岡県宮若市長=2021年12月、武内靖広撮影

 福岡県宮若市の塩川秀敏市長(75)が職員へのハラスメント行為を繰り返していた問題で、市議会は19日の臨時会で塩川市長の不信任決議案を否決した。6月20日には塩川市長によるハラスメント行為8件を認定した百条委員会の調査報告書について、市議会が賛成多数で可決していた。市議会は塩川市長のハラスメント行為を認めた上で、不信任には当たらないと判断した格好となった。

 塩川市長への不信任決議案は2月にも否決されており、今回で2度目。

 地方自治法の規定で、地方公共団体の長の不信任決議の可決には全議員の3分の2以上が出席し、うち4分の3以上の同意が必要になる。この日は市議16人のうち14人が出席。可決には11人の賛成が必要だが、賛成10人、反対4人だった。

宮若市議会百条委が認定したハラスメント

 百条委の報告書は、塩川市長の「寝る間はないぞ。死ぬ気で働け」「辞めろ」といった職員に対する発言7件についてパワハラと認定。また、女性職員に年齢を聞いた後、「出産が遅かったか。出産は普通か、切ったか」と言ったことをセクハラと認めた。

 これを受け、「市長の政治的責任は免れ得ない」として市議8人が連名で不信任決議案を提出。決議案は「(塩川市長の)ハラスメント行為により、職員の心身や職場環境に多大な悪影響を与えているという事の重大さを認識し、真摯(しんし)に向き合ってけじめをつけるべきだ」と指摘していた。

 一方、塩川市長は6月20日の記者会見で、ハラスメント行為を受けたと百条委が認定した複数の職員らに直接、謝罪したと説明。問題発覚後にはハラスメント対策に関する研修を受講したことを明らかにした。

 2月に提出された不信任決議案は、出席した市議16人のうち賛成10人、反対6人となり、可決に必要な4分の3以上の同意を得られなかった。【岡村崇】

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