愛媛県の松山城の城山で起きた土砂災害を巡り、頂上付近の緊急車両用道路の復旧工事が開始までに1年かかったことが注目されています。文化庁はテレビ愛媛の18日までの取材に「市から工事の緊急性を伝えられていなかった」と説明しています。

松山城の城山では12日に発生した土砂崩れで、ふもとの住宅が押しつぶされ親子3人が死亡。崩れた斜面の頂上付近では去年7月1日の大雨で擁壁の一部が傾いたことを受け7月から緊急車両用道路の復旧工事が行われていて、土砂崩れとの関係が注目されています。

この工事を巡って市は大雨から4カ月後の去年11月、復旧工事に向け現場の発掘調査を文化庁に申請。許可されて今年1月末に発掘調査したあと4月に工事の許可を申請し、5月に許可されていました。そして7月に工事を開始し、初めて道路に大きなひび割れを確認したとしています。

擁壁の傾きが確認されてから工事の開始まで約1年かかったことについて市は…

野志市長:
「(松山城は)国の史跡文化財なので『文化庁の許可が必要』なんだと。指示される発掘調査が必要なんだと聞いています。松山市としては、早く工事をしたいという思いはもちろんございます」

この工事では壊れた部分を元に戻すだけではなく、さらに耐久性を持たせるようにするため調査や計画の作成に時間がかかったとし、手続きが1年かかったことには「適切に判断した」としています。これに対し文化庁は…

文化庁文化財第二課・渋谷啓一主任文化財調査官:
「そこは色々意見があるのかなというように考えております。もし緊急性があるようでしたらご相談というかご一報いただいて、緊急的な対応が何かできないかといったところがご相談できたのではと考えています」

文化庁は『緊急性がある場合は許可がなくても、相談だけで応急措置をすることを認めている』としていて、市から7月1日に「大きなひび割れがあった」と報告を受けるまで、「工事の緊急性を伝えられていなかった」と説明しています。

この一方で城山の大雨の対策については、市民から市に改善を求める声が上がっていました。去年7月の大雨のあと城山北側の地区で撮影された写真では、道路に大量の泥水があふれているほか、マンションの駐輪場まで泥が入り込み道路が冠水しています。また今回土砂で押しつぶされた住宅の横からも大量の濁った水が流れ出ています。

撮影した住民は市に対応を依頼。市は道路の排水処理が追いついてないとして、排水溝の清掃をするなどの措置をとったということです。

この時に住民は、山の斜面から水が流れ出てくる状況を抜本的に改善してほしいと訴えたということです。

現場近くに住む住民からは「これはもう人災だ」という声もあがっています。

現場近くのマンションの住人:
「これはもう(自然)災害ではないと思うよ。1年前に大雨が降った時も、その時も道路が崩れかかっとった早い時から(工事を)していたらいいんやけども」

災害を繰り返さないため、早急な対策が求められています。

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