陸上自衛隊は18日、山梨県の演習場で起きた手りゅう弾の訓練中の死亡事故について、手りゅう弾を投げた後の隊員の位置と姿勢が、曲線軌道の破片の飛散に備えたものではなかったなどとする調査結果を公表した。

事故は、5月に山梨県の陸自北富士演習場で起きたもので、手りゅう弾の訓練中に、投てきを指導していた第1普通科連隊の山宮拓3等陸曹(当時)が、別の隊員が投げた手りゅう弾の爆発後の破片により死亡した。

東部方面総監部に事故調査委員会を立ち上げていた陸自は、18日、事故原因と再発防止策を発表。

原因については、「投てき後の位置と姿勢によっては、曲線の軌道により飛散した破片に接触する危険性もあったが、訓練参加隊員には、その認識がなかった」などとした。

陸自によると、教範で「壕の前壁から0.7m以内の位置に頭を伏せなければならない」としているにも関わらず、死亡した隊員は、壁から約2.8mの位置に、しゃがんでいたと事実認定した。

また、連隊長以下の指揮官なども、「曲線の軌道により破片に接触する危険性があるとの認識がなかった」としていて、位置と姿勢について、「事前の教育及び予行、射撃」「射撃実施間の指導」がなかったと指摘している。

再発防止策としては、位置と姿勢について、「統一した認識を持つよう教範を改正する」ことに加え、「理解が容易になるよう写真、図などを駆使してわかりやすい教範となるよう努める」などとしていて、手りゅう弾の投てき訓練を行う全部隊に通達するとしている。

陸自は、事故を受けて投てき訓練の実施を見合わせていたが、再発防止策を講じた部隊から逐次、再開する方針。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。