兵庫県の斎藤知事のパワハラ疑惑を幹部職員が告発し、その後、死亡した問題。

幹部職員が疑惑について詳細を記載した陳述書や音声データの存在が明らかとなる中、斎藤知事はこれらについて回答を拒否しました。

■陳情書などの取り扱いを次回の委員会で審議

【百条委員会 奥谷謙一委員長】「理事会の方でも、まず亡くなられた幹部職員に対して、ご冥福をお祈りしたところです」

16日、メディアに非公開の形で行われた百条委員会の理事会。

議論が交わされたのは、斎藤兵庫県知事のパワハラ疑惑を告発し、その後、死亡した元西播磨県民局長が残した陳述書と音声データの取り扱いについてです。

問題は今年3月、元県民局長が斎藤知事のパワハラ疑惑や、訪問先で贈答品をねだるなどの疑惑を告発。

告発の真偽を確かめるため「百条委員会」が設置されましたが、7月7日、元県民局長が死亡しているのが見つかりました。自殺とみられます。

そして15日、元県民局長が「死をもって抗議する」というメッセージと共に、疑惑の根拠となる情報源などを記した陳述書や、「おねだり」の場面を録音した音声データを残していることが明らかに。

疑惑の核心に迫る重要な資料の可能性もある中、16日、百条委員会の理事会が開かれました。

理事会では、陳情書と音声データをどう扱うのかということを次回の委員会で審議することが決まりました。

【百条委員会 奥谷謙一委員長】「まずは百条委員会の場で、資料として認めて良いかどうかお諮りしてから、認められれば(委員に)配布することになります」
「元幹部職員については、やはりこの百条委員会の場で実際に証言をしてほしかったという思いがあります。今回、本当に残念な結果になってしまいましたが、こういった陳述書を残していただいていたということで、これについては、大変重いメッセージだと思います」

■知事の明確な回答なし「改めて選挙をする考えはない」

一方、斎藤知事は音声データについて、15日に行われた関西の空港について議論する懇談会の後で、取材陣に対し「今日は空港に関する懇談会ですから、ご質問等あれば明日の定例会見で」と話していました。

その、16日の定例会見では…。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「詳細を承知していないので、この場で答えるのが適切なのか。詳細が分かり次第、然るべき場で回答させていただきたい。詳細が分かり次第、然るべき場で、しかるべきタイミングで、しっかり回答させていただきたい」

知事はこう述べて、明確な回答を避けました。

また、これまで一貫して辞職を否定してきた斎藤知事。16日も記者から何度も辞職や出直し選挙など責任の取り方を問われました。

Q.改めて県民に支持を呼びかける意味でも、選挙をするという考えはございませんか?

【兵庫県 斎藤元彦知事】「そこは考えていません。私自身の大事なところは、今は一つ一つの仕事を着実に前に進めるのが私の責任の果たし方だと思います。3年前に多くのご負託をいただきました」
「当時の、応援いただいた・負託をいただいた方に対する責任の果たし方として、私自身は毎日の業務を一つ一つ果たすのが、自分を応援していただいた、ご負託いただいた方への責任の果たし方」

改めて「日々の仕事を一つ一つ行い、県政を前に進める」と強調しました。

■16日の視察などの出席を取りやめに

16日、斎藤知事は、尼崎市を初めて「子育て住宅支援区域」に指定し、県と市が連携して重点的に支援する施策に関する視察などを行う予定でした。

しかし、そこに斎藤知事の姿はありませんでした。そのワケは…。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「県庁に多くの電話が寄せられています。その中には私自身に危害を加える内容もある」

知事に危害を加えるという電話などが寄せられているため、安全上の観点から出席を取りやめたというのです。

一連のパワハラ疑惑の影響を受けることになった尼崎市の副市長は…。

【尼崎市 森山敏夫副市長】「市長と知事がお会いした時の発信力はあると思う。ただ、(知事が)色々危惧することがあるとおっしゃっていたので、最適解として今時点のベストではないかもしれないが、ベターな対応をしている」

これに対して、斎藤知事は「視察は中止になったが、大事な施策としては着実に前に進めている」としました。これについて記者から問われると…。

Q.代理が行けばいいということが重なると、知事でなくてもいいという声も上がるのでは?

【兵庫県 斎藤元彦知事】「大事なのは、私が出席するしないに関わらず、一つ一つの行事やイベント、事業を、施策を進めていくこと。いろんなご指摘は真摯に受け止めますが、大事なのは施策を着実に実行していくため進めるために努力することだと考えています」

■19日の百条委員会に注目

「県政を前に進めることが責任」だと繰り返す斎藤知事。今の状況は、知事の言う「一つ一つの仕事を進める」ということになっているのでしょうか。関西テレビ「newsランナー」コメンテーターの大阪大学大学院 安田洋祐教授は、次のように話しました。
「県政を立て直すことは大切だと思いますが、誰が立て直すか。そこで、この斎藤知事に対する信頼が今揺らいでいるのは大きい問題だと思うんですね。知事自身も『3年前に多くの方に負託を受けた』と発言がありましたけど、それは3年前の話で、現時点で知事への信頼が揺らいでいる以上、ある程度、辞任であるとか出直し選挙とかは考慮に入れた方がいいと思います。その上で、辞めるのか継続されるのかは関係なく、今すぐできることとしては、もともと問題の発端が内部告発をする際に、県内に窓口があって、告発者の安全性が確保できないという問題があったと思うんです。そこを例えば県外に窓口を設置するというのは、知事を続けるか辞めるかは関係なくできることなので、これはトップダウンを変えてほしいなと思います」

19日の百条委員会で亡くなった職員の方の陳述書、そして音声データの取り扱いが決まります。今後のポイントについて、関西テレビ 神崎博報道デスクは次のように解説しました。
「斎藤知事はパワハラ、『おねだり』を否定されてますけども、もし百条委員会でパワハラやおねだりがあったことが認められてしまうと、知事は県民の前でうそをついていたことになりかねないので、新たに知事の責任問題が問われることになると思います」

百条委員会で真相解明は果たされるのでしょうか。

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