7月10日に開かれた国見町議会の臨時会で、賛成多数で可決された百条委員会の報告書。問題となっているのは「企業版ふるさと納税」で、寄附された4億円余りを原資に、町が進めるも中止された救急車の開発事業について。

<問題点は…多数>
2023年10月に設置され調査を行ってきた百条委員会が、指摘した問題点は…
◆町は大手自動車メーカーを上回る救急車の開発を目指していながらも、開発製造期間が4ヵ月と短かったこと。
◆入札に唯一参加し落札した宮城県の「ワンテーブル」が、契約の約10カ月前に救急車を事前に発注していたこと。
など、数多くに上っている。

<公平公正ではないとの結論>
その上で、報告書は「事業の正当性は崩壊している」「杜撰さ稚拙さを指摘せざるを得ない」などと厳しく指摘。国見町議員・百条委員会の佐藤孝委員長は「多くの点で公平公正な事業が実施されたと結論することは到底出来ないと考えている」と結論付けた。

<町民からも厳しい声>
議会を傍聴していた町民からは「町が責任を果たしていない」「もうちょっと町民の声を聞いて、町民の声を聞く力を磨いてほしい。議会に対しても町長に対しても、行政側に対して強く言いたい」との声が聞かれた。

<寄付金の還流システムが背景に>
臨時議会の終了後、引地町長に非公開の場で手渡された報告書。
福島県庁で会見を開いた百条委員会の佐藤委員長は「4億3200万円がDMMグループから町に寄附され、その金を原資として事業を展開。グループ会社のベルリング社が製造した救急車を町が買い取る。これによって税法上最大9割の所得税が、法人所得税が減免、控除される」と話し「寄附金の還流システム」が背景にあったとする考えを示した。

<町長へ事実上の辞職を求める>
また、百条委員会の報告書は引地町長の責任も厳しく追及。「速やかな政治的決断を強く求める」などと、引地町長に事実上辞職を求めた。
一方、引地町長はホームページで「報告を真摯に受け止め同様の事態が発生しないよう対応していく」とするコメントを発表。進退については言及しなかった。

この問題をめぐっては、国見町が設置した第三者委員会も調査を進めている。

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