外国人の育成就労創設を柱とする改正入管難民法が賛成多数で可決・成立した参院本会議=国会内で2024年6月14日午前10時56分、平田明浩撮影

 外国人技能実習生に代わる新制度「育成就労」創設を柱とする関連法改正案が14日、参院本会議で可決、成立した。同じ業務分野で職場を変える「転籍」がこれまでの原則3年から短縮される。群馬県内は都市部より賃金が低く、県内の関係者からは人材の流出を危惧する声も出ている。

 「人材受け入れには渡航費や語学などの教育研修費、生活必需品など初期コストがかかる。1~2年で転籍されると、費用はどうなるのだろうか」。東毛地区の監理団体代表理事は懸念を示す。

 これまで転籍には厳しい条件があり、縛りつけが人権侵害につながるなどの批判から、今後は一定条件下で1~2年での転籍を認める。県内の最低賃金は昨年10月時点で時給935円と関東最低で、東京都の1113円、埼玉県の1028円を大きく下回るため、現状でも、技能実習生はネット交流サービス(SNS)で情報を交換し、賃金の高い職場に移る実態があるという。代表理事は「特に建設関連で東京都内と賃金が全く違う。せっかく育てた人材が都市部に簡単に流出するのではないか」と語る。

 人手不足を背景に、「途上国への技能移転」を名目にした技能実習制度は廃止されるが、制度の変更前からすでに「人材の奪い合いが起きている」と指摘するのは、伊勢崎市で人材派遣などを行う「DS in Japan」の山本雄次社長。ベトナム出身の山本社長は「最低賃金で雇用するのは無理。良い条件を提示しなければ人は集まらず、企業は待遇向上の努力をさらに求められる」と話した。【庄司哲也】

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