立候補者の話に拍手を送る支持者ら=長崎県大村市で2024年4月16日午前10時16分、松本美緒撮影

 「政治とカネ」問題などに端を発した衆院3補選が16日告示され、12日間の選挙戦が始まった。本来は岸田政権への評価が大きな争点になるはずだったが、与野党が対決するのは島根1区のみで、東京15区と長崎3区は自民が「不戦敗」に。自民支持者と野党支持者双方に戸惑いが広がる中、有権者からはクリーンな政治を求める声も相次いだ。

 16日告示の3補選のうち唯一、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件が契機となった長崎3区。各陣営とも「政治とカネ」の問題を巡り、第一声から批判のトーンを強めている。

 「長崎県民はもう二度と裏金、金権政治を許さない」。大村市で開かれた出陣式で、立憲民主党元職の山田勝彦氏(44)が強調した。陣営が会場に選んだのは、裏金事件を巡って辞職した谷川弥一元衆院議員(82)の事務所があったビル近くの路上だった。

 山田氏は、政治資金規正法改正を巡る自民の動きについて「全くやる気が無い」と批判。「真の政治改革を進めるには、政権交代が必要だ」と聴衆に訴えた。

 日本維新の会新人の井上翔一朗氏(40)も、佐世保市であった第一声で「政治とカネ」を巡る問題を取り上げた。

 井上氏は、自民が不戦敗を選んだことを引き合いに「自民は長崎の政治を放り投げたと見ていい。そんな党に政治は任せられない」と主張。「政治改革は実行力で見極めてほしい。政治とカネについて、正々堂々と政治家が責任を取るという覚悟を示しているのが維新だ」と声を張り上げた。

 自民不在の選挙戦に、自民を支持しているという大村市の無職の男性(85)は「非常に残念」と打ち明ける。同市の自営業の女性(46)は「今回の補選は興味がなかなか持てないが、立候補者の話を聞いて投票には行きたい」と語った。【松本美緒、松尾雅也】

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