自民党が提出した政治資金規正法改正案を賛成多数で可決した衆院政治改革特別委員会=国会内で2024年6月5日午後2時59分、平田明浩撮影

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法の改正を巡り、自民が提出した改正案が5日、衆院の政治改革特別委員会で、自民、公明党、日本維新の会の賛成多数で可決された。立憲民主、国民民主、共産の各党などは反対した。自民案は6日の衆院本会議で可決され、衆院を通過する見通しだ。

 岸田文雄首相(自民党総裁)は採決に先立つ特別委の審議で「今国会での確実な改正と政治への信頼回復に全力で取り組んでいきたい」と強調した。

 自民案は、政治資金パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「5万円超」へ引き下げる▽使途公開が不要な「政策活動費」について、10年後に領収書などを公開する▽政治資金収支報告書の記載について国会議員本人がチェックしたことを示す「確認書」の作成を義務付ける――などの内容。特別委では、立憲などが提出した改正案も採決されたが、否決された。

 当初は4日の特別委で採決する予定だったが、自民が維新の要求を受け入れて、政党からの政策活動費の支出が1件あたり50万円以下の場合でも公開の対象とするよう法案を修正し、日程がずれ込んだ。

 首相は特別委で「一連の政治資金制度改革の議論の発端は我が党が作った」と改めて言及した上で、「規正法の改正を今国会で確実に実現するという国民との約束を果たさなければ、政治への信頼回復はできない。こうした強い思いから自民党として思い切った、踏み込んだ案を示す決意をした」と説明した。

 立憲の岡田克也幹事長は改正案を「羊頭狗肉(くにく)だ」などと厳しく批判。新たに設置される第三者機関による政策活動費の監査に関し、来年度の収支報告から適用できるようにすることを求めたが、首相は「第三者機関にどういった権限を与えるのか。政治の自由や透明性などの関係においてどのような機関を作るかなどは簡単な議論ではない」と語り、設置時期の明言を避けた。

 また首相は、保存・公開すべき領収書を紛失した場合などの対応について、「法案が成立した暁には罰則の要否について検討が行われる」との認識を示した。

 野党側は、調査研究広報滞在費(旧・文書通信交通滞在費)の見直しに関しても今国会中に結論を得るよう要求。首相は「できるだけ早期に結論を出すべく自民党として貢献する」と述べるにとどめた。【樋口淳也、園部仁史】

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