防衛省は5日の自民党の会合で、今夏にもまとめる2024年版の防衛白書の素案を示した。今回から章立てを変え、防衛予算の説明に重点を置いた「防衛力整備と予算」の章を新たに設けた。防衛力を抜本的に強める施策の全体像や財源を確保する取り組みを記し、国民に理解を求める狙いがある。

党の国防部会と安全保障調査会の合同会議で示した。23年版では「防衛力整備計画など」という章の中の一節として予算を取り上げていた。

今年度は22年末にまとめた安全保障関連の3文書に基づく防衛力強化の2年目にあたる。契約額でみると全体の「42%の措置を完了した」と進捗の状況を説明した。

防衛装備は海外からの調達が多いこともあり、長引く円安で予算が目減りしている。政府・与党は防衛力強化のための財源として法人税や所得税などの活用を検討しているが、増税を始める時期の結論は出していない。素案では「財源確保を推進」すると明記した。

防衛関連予算の国内総生産(GDP)比の考え方についても記述した。政府は27年度にGDP比2%を達成する中期目標を定める。計画を決めた22年度のGDP実績をもとに算出すると24年度のGDP比は1.6%だった。22年度基準では実際のGDP比よりも上振れし、年々開きが大きくなる可能性がある。

情勢認識を巡っては台湾有事を念頭に「ロシアによるウクライナ侵略と同様の深刻な事態が東アジアにおいて発生する可能性は排除されない」との認識を新たに指摘した。北朝鮮が「質的な意味で核・ミサイル能力の向上に注力」していると提起した。

日本と韓国の防衛相が1日、レーダー照射問題の再発防止策と防衛交流の本格再開に合意したことも白書に盛り込む方針だ。

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