血液検査に使う試薬の販売をめぐり、不当に競争を制限した疑いがあるとして、公正取引委員会は4日、医療用検査機器大手「シスメックス」(神戸市)に対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで立ち入り検査を始めた。関係者への取材で分かった。

 関係者によると、シスメックスは遅くとも2019年から、血液検査の機器を病院や大学に売る際、自社製の試薬を使うことを条件にするなどして、不当に競争を制限した疑いが持たれている。本来は他社製の試薬も使える仕様だが、他社製を使っている取引先には自社製への変更を求めていたとみられるという。

 公取委は、こうした行為が、独禁法が禁じる「抱き合わせ販売」にあたるとみて実態解明を進める模様だ。

 対象の機器は、血栓のできやすさなどを血液から調べる「血液凝固測定装置」。22年の国内の市場規模は約27億円で、同社がトップシェアを占める。試薬の国内市場規模は約109億円で同社のシェアは2位だった。決算短信によると、24年3月期の連結売上高は過去最高の約4615億円だった。(増山祐史)

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