月経過多などの治療のため処方された経口避妊薬を服用して重い障害を負ったとして、北海道内の50代女性と夫が、処方した八雲総合病院を運営する八雲町などに約2億7600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が8日、函館地裁であった。五十嵐浩介裁判長は、病院側が処方時に必要な検診を怠ったと指摘し、同町に約1億9400万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は同病院で複数の医師から2007年3月~13年11月に計34回にわたり、経口避妊薬を処方されて服用。14年1月に脳静脈洞血栓症を発症し、右半身不随や失語症の障害を負った。

 判決は、血栓症の直接の原因は13年11月に処方された薬の服用によると判断。高血圧患者が経口避妊薬を服用すると血栓症の発症リスクがあるため、血圧測定などを行う必要があったとし、医師には処方時に検診を行わなかった注意義務違反があると結論づけた。また、服用による血栓症のリスクを女性に説明する義務も怠ったと認めた。

 同病院の竹内伸大事務長は取材に「判決文を精査した上で、弁護士と今後の対応を協議する」としている。(野田一郎)

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