重い知的・身体障害の両方を抱える重症心身障害の人たちにも、音や光を感じてほしい――。そんな思いから、新潟県長岡市の長岡療育園では年に一度、外出が難しい利用者たちのために、花火を打ち上げている。
10月上旬、真っ暗な園の駐車場に、車いすに座ったり横たわったりした利用者とその親たちが集まった。病棟から眺める人も合わせると200人以上。大輪の花火が打ち上げられると、利用者は顔を上げ、手を動かした。
花火大会が始まったのは40年前。当初、打ち上げ花火はなかったが、花火師の資格を持つ看護師が在籍した縁で、20年ほど前からは地元の花火師に依頼して打ち上げ始めたという。園の看護部の伊藤哲也副部長は「目が見えない、耳が聞こえないなど様々な方がいますが、花火からいつもと違う刺激を感じてほしい」と話す。
園の入所者の中には、人工呼吸器や心拍を測る機械の音だけが鳴る静かな病棟で暮らす人もいる。そんな重症心身障害の中でも特に手厚い医療ケアが必要な状態は「超重症」といわれ、声を出せない人も多い。
入所者137人の平均年齢は約48歳で、18人が超重症。高齢化とともに症状が重くなり、別の病気にもかかりやすくなる。伊藤副部長は「30年前は人工呼吸器を付けている人はいなかったと思う」と振り返る。今は一時的に使う人を含めると26人が人工呼吸器を付けている。
新潟県三条市の木原ゆき子さん(48)は、数年前から人工呼吸器をつけ「超重症」とされる娘の凜さん(19)の隣で花火を見つめた。「一緒に見る機会はあまりなく、真上で見られることもない。学校も卒業してなかなか行事がなかったので、いい思い出になった」と話した。
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