名古屋大学病院(名古屋市昭和区)は11日、医師が画像診断の結果を見落とし、肺がんの診断が約3年遅れる医療ミスがあったと発表した。患者は見落としから6年後の2022年3月に肺がんなどで死亡した。

 病院によると、患者は死亡当時80代の男性で、16年3月におなかの痛みを訴え、名大病院でコンピューター断層撮影(CT)検査を受けた。検査した放射線科の医師は、肺の一部に影が見えるとして、「3カ月後に再検査を推奨する」などと記した診断リポートを担当科の医師に引き継いだ。

 引き継いだ医師はリポートを読み込まず、再検査をしなかった。男性は19年7月まで肺がんと診断されず、発覚時にはがんがステージ3まで進行し、手術は不可能な状態だった。

 名大病院は16年以降、同様のミスで治療が遅れ、その後患者が死亡した事例を6件公表している。丸山彰一病院長は「私たちの医療行為が不適切だった。深くおわびをしたい」と謝罪。主治医以外も診断結果を確認するなどの再発防止策を検討している。(井上昇)

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