水俣病の被害を訴え、国などに損害賠償を求めている訴訟の原告らが11日、日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。訴訟が長引けば高齢の原告が亡くなる可能性が高まるとして、国や熊本県に早期救済を求めた。

  • 「全ての被害者救済を」遺志を継ぎ判決に臨む 水俣病訴訟の原告団長

 申し立てたのは、大阪、熊本、東京の各訴訟の原告6人。訴訟外で救済に向けた協議をすることや、被害が出た不知火海の沿岸住民に対する健康調査の実施などを求めた。

 昨年9月の大阪地裁判決は原告全員を水俣病と認めて国などに賠償を命じたが、国などが控訴。今年3月の熊本地裁判決は25人を水俣病と認めたが、賠償請求は退け、原告側が控訴している。

 都内で記者会見した熊本訴訟原告弁護団長の園田昭人弁護士は「(一連の判決で)未救済の患者がいることははっきりした。判決を待って対応を長引かせるのは、原告が死ぬのを待っているのと一緒だ」と訴えた。

 同種訴訟は新潟地裁にも起こされ、今月18日に判決が予定されている。熊本訴訟原告団の森正直団長は「大阪地裁判決のように、全ての患者の苦しみを救済する判決を期待している」と話した。(森下裕介)

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