臓器移植が国内で進んでいない現状を受け、環境整備を求める声が当事者らから上がっている。昨年6月から集まった署名は2万件超。臓器提供の意思をくみ取り、救われる命が増えてほしいという思いが込められている。

 17日、生体肝移植を受けた及川幸子さんと、娘が米国で心臓移植を受けた佐々木幸輔さん・沙織さんが武見敬三厚労相と面会し、署名を提出。「臓器を提供しない」という意思表示のない人は、提供の意思があるとみなす「オプトアウト」方式の導入について議論を求めたほか、臓器提供の前提となる脳死判定を提供の意思に関わらず実施できるようにすることや、患者家族に対応するコーディネーター不足の解消を訴えた。

 日本臓器移植ネットワークによると、国内での移植を希望し登録している人は約1万6千人。だが、移植を受けられるのは年約3%にとどまる。及川さんは「(待機中に)亡くなってしまう人がたくさんいる。自分は助けてもらったので、少しでも何かしたい」と署名活動を始めた。意思表示をしている人が少ないことも課題で、臓器提供について考えるきっかけをつくりたいとも思っていた。

 活動を通じて、移植に関するデマや当事者への誹謗(ひぼう)中傷が以前より減っているとも感じた。「さらに理解が広がり、環境が整備されることで、治療の選択肢として定着してほしい」と話している。(藤谷和広)

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