妊娠・出産の前から心や体の健康に関する相談ができるサービスを、茨城県が1日から始めている。妊娠を希望するカップルの「妊活」をはじめ、思春期の悩みや月経不順、パートナーとの接し方まで、幅広い相談に専門家がオンラインで対応する。

 自治体や企業による妊活・不妊治療サポート事業を支援するファミワン(本社・東京都)のサービスを、県内に住む人や通学・通勤する人が無料で利用できるようになった。県は少子化対策の一環として、今年度当初予算に550万円を計上。これまでも県産婦人科医会や県助産師会と連携した妊娠・出産や不妊専門の相談サービスを行ってきたが、妊娠・出産を予定していない段階からの相談もできるようになった。

 会員登録後、生活習慣や不妊治療の希望、パートナーとの関係などをチェックシート画面で記入。この情報を元に、それぞれの利用者に合わせたアドバイスが届く。

 メッセージ機能を利用した「テキスト相談」のほか、事前予約をすればウェブ会議システムを使った「通話相談」も可能。不妊症の専門知識を持った認定看護師や、公認心理師、助産師、薬剤師らの中から相談したい専門家を選ぶことができる。

 相談内容は、心身の健康に関することを幅広く受け付ける。妊娠・出産の予定がなくても、月経トラブルなども相談可能だ。避妊や性感染症、予期せぬ妊娠といった内容も受け付ける。妊活や不妊治療の相談から、流産や死産を経験した人たちの心のケアにも対応している。

 サービスは男女問わず利用できる。妊娠中の女性に対して、どんなサポートや声かけができるかといったパートナーからの悩みも相談できるといい、少子化対策課の担当者は「まずは気軽に相談してほしい」と呼びかけている。

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 茨城県内でも少子化は深刻だ。1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す合計特殊出生率は1・27(2022年)。1975年には2を超えていたが、全国平均とほぼ同じ水準で徐々に減少している。

 女性が第1子を出産する年齢も上がってきている。厚生労働省の人口動態統計によると00年、県内で27・5歳(全国平均28歳)だった第1子出産年齢が、22年には30・5歳(同30・9歳)と、3年遅くなっている。

 子どもがほしいと望んだ時に健康状態や年齢の問題でなかなか妊娠できず、不妊治療を選ぶカップルも増えている。こうした状況を踏まえ、県は妊娠・出産に至る前の段階で、より早く自身の健康に目を向けてもらうことを重視。時間や場所を選ばない相談サービスを無料で利用できるようにしたという。(宮廻潤子)

ファミワン以外の主な相談窓口

●妊娠・子育てほっとライン(県助産師会)

妊娠・出産、子育て、母乳などに関する相談に助産師が電話やLINE(ライン)で応じる(029・301・1124/木曜を除く平日午前10時~午後5時)

●不妊専門相談センター(県産婦人科医会)

不妊治療・検査の内容や費用などに関する相談に、不妊治療専門の産婦人科・泌尿器科の医師、カウンセラーなどが応じる。電話、オンライン面談、対面での相談も可(予約は029・241・1130/平日午前9時~午後3時)

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