6月1日は、「世界牛乳の日」に制定されています。牛乳への関心を高めようと、国連食糧農業機関が定めたものです。

そこで「牛乳容器のフタはなぜ『紫』なのか」考えたことはありますか?牛乳にまつわる素朴な疑問、その真相に迫ります。

「牛乳といえば紫なので」

まず訪ねたのは、熊本県阿蘇市にある「ASO MILK FACTORY」です。ここでも牛乳はやはり「紫」。一方で、ヨーグルトは透明のキャップです。

阿部牧場 阿部寛樹 代表「小さい頃、銭湯でビン牛乳の上のフィルムが紫だった。やっぱり牛乳といえば上のフタは紫なので、紫にしました」

利用客にも聞いてみました。

――なんで紫なんでしょうか?

「考えたこともない」
「(紫の方が)殺菌作用がある…?」
「お坊さんは位が高いと紫なので、位が高い牛乳?」
「わかりません。教えてください」

さらに、RKKに残る映像で学校給食の歴史を遡ると、まだビンの牛乳が多く飲まれていた1992年、衛生管理のために飲み口を覆っていたカバーも全て「紫」でした。

なぜ紫なのか?容器の製造や販売を手掛ける老舗企業にその理由を聞いてみました。

「紫」の歴史は半世紀以上前から

牛乳ビンのキャップなどを製造 尚山堂 山下英洋さん「『乳飲料の表示に関する公正競争規約』が認定されて、牛乳のポリフードは『紫色』にしようと定められた」

実はキャップやカバーを「紫」と決めていたのは、いまから半世紀以上前に制定された「飲用乳の表示に関する公正競争規約」という業界独自のルール。

当時は「生乳」と見た目が似ている「加工乳」の流通が徐々に増えてきた時代でした。そこで、消費者が商品を区別しやすいよう「生乳」のカバーを「紫」にすることにしたというのです。

「ほとんど使われていない色」

牛乳ビンのフタはなぜ、他の色ではなく「紫」になったのでしょうか?

山下さんほとんど使われていない色を使って、なおかつ、キャップに記載された表示が見えやすくするために『薄い紫色』にしましょうとなった」

フルーツ牛乳は赤や黄色、コーヒー牛乳は茶色など、すでに様々な色が使われていた中で、市場にほとんど出回っていなかった色が「紫」でした。

しかし時代は変わり、現在では牛乳ビンそのものの需要が減ったことで、15年前に「自主規約」は改正されました。今は「紫」の縛りはありません。

改正で「商品名通り」の色に

大分県にある「みどり牛乳」の牛乳ビンのパッケージも以前は「紫」でした。

みどり牛乳 吉冨寿志さん「規約通りの紫色のパッケージで、みどり牛乳のビンを作っていました」

しかし、「自主規約」の改正を受けて、商品名の通り「みどり」に変更しました。

吉冨さん「手にしたときに『みどり牛乳』とわかるようなデザイン。以前の紫だとわかりづらかったところを、緑にすることによって『“みどり”牛乳』とわかるのかな」

半世紀以上、規約で決められていた牛乳容器のフタの色。時代の変化とともに、その色や形を変えていました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。