農業に関心に持ってもらおうと、農家と消費者が語り合い、ランチを楽しむ会が先日、広島市内のレストランで開かれました。腕を振るったのは、自らも野菜を作る 北村英紀 さん。“耕すシェフ” が作る地産地消ランチは農業の希望の種となったのでしょうか。
北村さんは、広島で活躍するイタリアンシェフです。薬味のゆず胡椒も地産地消です。この日、北村さんが経営するレストランで「食と農」をテーマにしたイベントが開かれました。
県内6人の農家が、農業の現状を語り、それぞれの食材を使ったランチを食べることで消費者に農業への理解を深めてもらう趣旨です。
主催は畑と食卓を結ぶ活動をするグループ「むすぶ広島」。食材の魅力の発信役が北村さんです。
「むすぶ広島」 花井綾美 さん
「野菜をよく知るプロならではの、『こんな料理になるんだね!』という驚きもあり、それをまたご自身の台所に持ち帰って活かしてもらったら、また野菜に対する思いも深まっていくのではないか」
「野菜は鮮度が1番」地産地消にこだわる理由
北村さんは2年前から広島市安佐南区祇園の畑を借りて野菜を作っています。
先生役は地元の農家です。この日は、カブの間引き菜を収穫しました。
北村英紀 シェフ
「地産地消にこだわるっていうのは、野菜っていうのは鮮度が一番だと思う。鮮度があれば、いろんな料理にしても、いろんなレパートリーができる」
北村さんにとって、この地で農家が作る野菜も魅力です。その代表格が伝統野菜「祇園パセリ」です。
高齢化で、農家の数は30年前の4分の一に減りましたが、今も20軒ほどが作っています。
「きめ細かいですね。おいしいし、雑味がないし」。パセリを一口食べると、「使わせていただきます」と伝えました。
“オール広島”で作り上げるランチメニュー
イベントで使う食材は県内5軒の農家が作ったコメや野菜です。祇園パセリは間引き菜をミキサーにかけたあと、パスタの生地に練り込みました。
イベントには農家や消費者ら30人あまりが参加しました。
ランチのメニューは全部で7品。前菜はあぶったサンマをナスのテリーヌにのせ、北村さんの畑で獲れたベビーリーフなどを盛り付けます。さらに唐辛子の粉をまぶして揚げたコメのチップを添えました。
肉料理で、和牛の炭火焼きに合わせて用意されたのはミニ広島菜です。この広島菜を燻製にして、和牛ローストの上に盛り付けます。事前に作った “オール広島” のゆず胡椒を添えました。
デザートのティラミスとジェラートです。実は材料はニンジンです。ジェラートは葉っぱから茶を作り、シロップを加えました。
「もっともっと楽しい広島に」
肉料理の薬味にも使われた唐辛子の生産者が北村さんに声をかけました。
唐辛子生産者 吉岡紘 さん
「本当に唐辛子なんてメインにならないので、どれだけ、ほかのものを引き立てるものにしてもらえるかっていうのをうちら、一番そこを見る。そういう意味で本当によくしていただいたなあ」
北村さんにとって努力が報われた一言でした。2時間に及んだ地産地消のランチ会北村さんは最後、こう締めくくりました。
北村英紀 シェフ
「食材を通して、また人間同士のキャッチボールができれば、もっともっと楽しい広島になるんじゃないかなと思います」
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