三陸の海で空前の豊漁を記録している高級魚があります。
主要魚種の不漁が続く中、その高級魚に着目し商品開発に乗り出した企業を取材しました。
こちらが、三陸の海で豊漁となっている高級魚のマダイです。
本来、三陸の海ではなかなか捕れないマダイですが、暖流の黒潮の北上などによって、回遊してきたことが豊漁につながったとみられています。
そしてこちらがそのマダイに着目し1日から販売されている「天然真鯛の贅沢茶漬」です。
(大崎記者リポート)
「あぶった皮の香ばしさが口いっぱいに広がるのと同時に、柔らかくほぐれた身がとっても上品な味がします」
1人前は冷凍した厚さ5ミリほどのマダイの切り身80グラムと出汁がセットになっています。
それぞれを水で解凍した後、切り身をご飯の上にのせ、一緒に袋に入っていた秘伝のごまたれを好みの量かけます。
そこに熱湯を加えた出汁をかけて食べます。
この商品は三陸鉄道が開業40周年の記念として、山田町に本社を置く水産加工会社と、商品の企画などを手がける盛岡市の会社と共同で開発したものです。
(三陸鉄道 菊池修二経営企画部長)
「おかげさまでお店でもご購入いただいている。三鉄のオンラインショップでもギフト商品として販売している」
そもそも高級魚として知られるマダイは本来、関東から九州にかけて三陸より南の地域が産地となっていて県民にはなじみの薄い魚です。
それが2024年、空前の豊漁を記録したことから、商品の企画がスタートしました。
県水産技術センターによりますと、県内は2000年以降、多くても50トン以下で推移していたマダイの水揚げ量が、2023年およそ66トンに上りました。
さらに2024年は先週の金曜日時点で142トンあまりに達していて、特に5月の1か月間は去年1年間に匹敵する水揚げを記録しました。
今回の商品開発に参加した石山水産の6代目、石山勝貴社長はマダイの商品化は新たなチャレンジの第1弾だと語ります。
(石山水産 石山勝貴社長)
「主要魚種と言われるものは気候変動の影響なのか水揚げ量が落ちていて、それを主力にする商売が三陸の沿岸ではしづらくなってきている。なのでそれ以外のものを開拓していく必要がどんどん出てくる」
石山さんの会社は、山田町の工場でイカをさばく1次加工を事業の主力としてきました。
さらに多角化を図ろうと、8年前に整備した生食向けの加工品を製造する大槌町の工場でおよそ半年かけて今回の商品作りに取り組みました。
マダイの鮮度を保つ秘密は…
(石山社長)
「リキッドフリーザーという液体式の凍結機があって、それを使うと冷凍品ですが生と遜色がない食感と鮮度を保ったままの製品が提供できますので」
刺し身や焼く以外に、マダイをどうすれば食べてもらえるか。
そこで、西日本の食べ方の1つ、「鯛茶漬け」に注目して試作を重ねました。
さらに、天然・マダイの味の良さを引き立たせるために行っているのは…
ガスバーナーで皮をあぶって風味をつける方法です。
(浅田誠さん)
「皮を引いた(剥いだ)ものとあぶったものとを食べ比べをした中で、あぶった方が香ばしさが引き立ってすごくおいしい」
それぞれ家庭で楽しむ工夫もふんだんに盛り込まれています。
(石山社長)
「ごまたれの多い方がおいしいという方もいらっしゃいますしあっさり食べたい時は少なめにしたり出汁を入れるタイミングも先に少し食べてからお茶漬けにして食べるとかいろいろな食べ方のパターンが作れると思いますので。いろいろと探してみてもらえば」
岩手で定番の魚介類が不漁続きの中、新たな魚種をビジネスチャンスに結びつける挑戦を、三陸鉄道も後押しします。
(三陸鉄道 菊池修二経営企画部長)
「新しいコンセプトというか、この地域でなかなか食べられない魚だった。こういった商品で地域の企業と一緒になって開発した商品なのでご賞味いただければ」
新しい「三陸の味」発信へ、挑戦は始まったばかりです。
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