「外国人観光客のおもてなし」に欠かせないスキル、それが語学。その能力を発揮する人物が、“熊本城”にいます。

多くの外国人観光客で賑わう熊本・阿蘇。山上にある売店では英語や中国語などの外国語が飛び交っていました。火口見学のシャトルバスは3台フル稼働、観光地の賑わいに地元はうれしい悲鳴をあげる一方で、課題にも直面しています。

阿蘇山上ターミナルのスタッフ「日本の方を探す方が大変です。インバウンドの対応が一番課題になっている。ガイドしたいなと思うときも言葉が通じないので」
阿蘇火山博物館 斎藤直也さん「やっぱり言葉ですね、求められたことに対して正確に応えないとなと思いながら…」

翻訳アプリなど便利なツールも広がる中、やはり「もてなし」を考えると外国語を話せる人材の確保は欠かせません。

阿蘇山上ビジターセンター 早野慎哉さん「どこの国の方が来られても分け隔てなく、同じような情報が話せるといいかなと思うので、日々勉強をしています」

そんな中、いま活躍の場を広げる人物がいます。

多言語を操る「姫」熊本城でおもてなし

熊本城を訪れた外国人を前に流ちょうな英語を披露するのは、『熊本城おもてなし武将隊』の一員で加藤清正の娘・八十姫(やそひめ)です。戦国の世から現代によみがえり、観光客をもてなしています。

熊本城おもてなし武将隊 八十姫(英語で)「私たちが『こんにちは』と言ったら、『こんにちは』と返してください」

八十姫は、英語が堪能なだけではありません。

八十姫(中国語で)「皆さん、城彩苑へようこそ!我々は、『熊本城おもてなし武将隊』です」
八十姫(韓国語で)「京畿道(キョンキド)からお越しですか、私は先週初めてソウルに行って参りました」

八十姫「お客様とコミュニケーションがとれるのは英語と韓国語と中国語が少し。インバウンドの方がいっぱいいらっしゃってまするので、そういう方に日本のことを楽しんでもらっていろいろ知っていただくには外国語かなと」

外国人観光客をもてなす八十姫

八十姫が生きていたのは江戸時代。当時から多言語を使いこなしていたのでしょうか?

八十姫「まったくでござりまするな。少し武器が使えるとか、いい母・いい妻になることの方が当時は大切でございますので、外国語を勉強することはござりませんでした」

独学1年で韓国進出 勉強方法は「インターネット」

複数の言語を使いこなす現代の八十姫。留学経験はなく、インターネットの自動翻訳などを駆使し、約1年で韓国語と中国語を習得したといいます。

八十姫「おもてなしで使える文章を準備して覚えて、そこからお客様と話しているうちに言葉が少しずつわかってくるので、それをどんどん取り入れて語彙(ごい)を増やしていくというやり方」
――八十姫もインターネット使うんですね
「もちろんでございます、我らもいっぱいインターネット使いまするよ」

こうした努力の甲斐もあり、10月上旬には初めて韓国のイベントにも参加し、海外にも活躍の場を広げています。

現地で韓国人と間違われることもあったという語学力は、ともに活動する大名たちからも一目置かれています。

熊本城おもてなし武将隊 黒田官兵衛「言葉の壁を八十姫が取り除いてくださることで、(熊本が)おもてなしが充実した街だと発信できるのはすばらしいこと」

そんな八十姫が次に習得を目指す言語は?

八十姫「次は、島津様に鹿児島の言葉を習わないといけませんので」
熊本城おもてなし武将隊 島津義弘「おう、そうじゃな。薩摩と都城のことはわしが教えたるよ」
八十姫「ぜひとも!そしたらまた2言語増えまするね」
島津義弘「いや、あれは日本語という一つの部類なんじゃ」
八十姫「7か国語くらいになりますから」
島津義弘「〇か国語で数えるな!」

熊本城おもてなし武将隊 八十姫(左)と島津義弘(右)

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