生魚の体内に潜んでいる寄生虫「アニサキス」を駆除する実験が熊本大学で行われています。使われているのは「電気」です。

熊本大学の食堂で、学生たちが試食しているのは、サーモン。

二つのサーモンを食べ比べていますが、そのうちの一つは特殊な装置にかけられていました。

その装置からは、電撃音が繰り返し鳴り響きます。生魚に潜む寄生虫「アニサキス」を駆除する装置です。

熊本大学 浪平隆男(なみひら たかお)准教授「新アニサキス撃退法、撃退装置と呼んでいます」

熊本大学の浪平准教授の研究室では、3万ボルトの電気を生魚に流して、アニサキスを除去する機械を開発しました。3万ボルトは、街なかの電線にかかる電圧の約4倍です。

浪平准教授によりますと、電気は流し続けるのではなく1秒ごとに100万分の1秒の電気(=パルス)を流し、これを170回繰り返すことで殺虫効果をもたらします。

浪平准教授「チタンの板の上にサケのフィレを入れ、もう一つの金属ではさむことで、中にあるものは全てパルスで殺虫できる」

パルスを加えた魚を食べても人への影響はないということです。

処理したサーモンと、処理をしていないサーモンを食べ比べた学生は…。

「(違いは)全然わからないです。香りなども全然変わらないです」
「私には違いが分からなかった」

アニサキスは刺身などに付いたまま食べてしまうと食中毒を引き起こし、激しい腹部の痛みや吐き気に襲われる場合があります。

海外では刺身など生食を規制する国もあることから、浪平准教授は「刺身など生食の文化を残したい」と2017年に研究を始めました。現在はまだ試作品の段階ですが、企業などに売り込み、量産化を目指しています。

さらには、今後の研究次第で熊本のあの名物にも応用できる可能性もあるということです。

浪平准教授「いま馬刺しも冷凍規制になっているがそれも寄生虫が原因。生の馬刺しを復活させることができれば熊本県民としてうれしいなと」

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