岩手県花巻市に60年以上種を守りつないできた枝豆があります。
その名も「におい豆」。畑全体からほんのりゆでた枝豆の香りがすることからその名が付けられたにおい豆の収穫を取材しました。

花巻市成田の畑です。生い茂った葉をかき分けてのぞいてみると…

「ペラペラの薄い感じになっていますが、これにだんだん実がつけば…」
「すごい産毛に覆われたかわいい豆が出てきました」

こちらがその「におい豆」。
この地域で60年以上に渡って栽培されてきた枝豆です。


まもなく今シーズンの収穫が本格化します。

(押切食品 伊従聡一さん)
「祖父母が毎年何気なく種をとって植えるという作業をしている。これってすごい価値があるんじゃないの?ということに後から気づいて、そこからちゃんと守っていこうと今こうやって続けている」

におい豆を栽培する伊従聡一さんは、漬物の製造販売を手がける押切食品の3代目。
におい豆は、かつて地域のあちらこちらで育てられていましたが、現在生産を続けている農家はほとんどありません。


押切食品では、守りつないできたにおい豆の種を絶やすことなく栽培を続けています。

「すごく風味も味も濃いし、すごくおいしいなと思っています」

この地域の枝豆の栽培は、北海道から種を仕入れて植えたのが始まりとされていて、大切に種をつなぐことで土壌に適応していき、今では農薬や化学肥料を使わなくてもしっかり育つようになったといいます。


におい豆はその名の通り強い香りが特徴です。

「花が咲くのがお盆の前くらいなですけど、畑から豆の香りがふわっとするので昔からこの地域ではにおい豆と呼ばれるようになりました」

収穫の時期が近づくと畑全体からは、ほんのりゆでた枝豆の香りが漂います。

2024年は気温の高い日が続き、太陽をたくさん浴びて育ったにおい豆の出来は上々だということです。

(井丸キャスターリポート)
「収穫本番前なんですが特別に食べさせていただけるということで初物のにおい豆いただきます」

「豆の食感もいいですし、風味も強いですよね。この風味がにおい豆と言われるゆえんなんですね」

におい豆を広く知ってもらおうと押切食品では、運営するカフェ「まめくら」でにおい豆を使った料理を提供しています。

なかでも人気なのが、豆ごはんのおにぎりやみそ汁などで構成されるにおい豆をふんだんに使ったランチセットです。

(井丸キャスターリポート)
「みその香ばしい香りが漂ってきますね。かなりうまみもすごいです」

花巻の地で育ち受け継がれてきたにおい豆。
伊従さんは、地域を代表する作物としてもっと広がってほしいと考えています。

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