「WEリーグ クラシエカップ」が8月31日から始まり、WEリーグの2024-2025シーズンがスタートする。
昨季はリーグ戦を過去最高の4位で終えたアルビレックス新潟レディースは、悲願のタイトル獲得を目指す。その中で鍵となるのが“決定力”だ。昨季、チーム最多のリーグ戦5ゴールを挙げた滝川結女選手(25)に今季の展望を聞いた。

新たなサッカーで“大きく成長できた”2023-24シーズン

身長153cmと小柄ながら、俊敏な動きと思い切りのいいシュートでチャンスを作る滝川選手。得点もさることながら、昨シーズン際立ったのは“前線からの守備”だ。

「守備の部分は課題ですね。1対1の対応などはまだまだ自分の足りない部分なので、改善していきたいと思います。昨シーズンはサイドハーフでプレーすることが多かったのですが、本当に『狙える』『行ける』と思ったところ…“嗅覚”じゃないですけど、前線から守備することができました。前線で奪い切ればゴールに近いというのもあるので、本当に“嗅覚”でやっています」

画像提供:アルビレックス新潟レディース


2023‐24シーズンから橋川和晃監督が就任したアルビレックス新潟レディースには、ボールを繋ぎ、選手が自分たちで考えながら相手ゴールに迫るサッカーが根付きつつある。自分は今、行くタイミングなのか? それとも味方を使った方がいいのか? その判断について、滝川選手は昨季、一番大きく成長できたのではないかと振り返る。

「日々のトレーニングの中でも、パスの質や左右どちらの足にパスを出すのか、味方が走るタイミングに自分が合わせにいくのかなど、本当に細かい部分について監督が1回1回プレーを止めてアドバイスしてくれます。『今のはこっちだよね』とか『今は、このタイミングだよね』とか。こういう形のトレーニングはあまり今までもやってきていなかったので、考えが磨かれていきますね」

手ごたえを感じた昨シーズン ただ“トップ3”との差は…

アルビレックス新潟レディースは2023−24シーズンのリーグ戦の成績が13勝2分7敗で12チーム中4位。橋川監督が就任し、タイトルが見えたシーズンだった。

ただ、3位の日テレ・東京ベレーザとは勝ち点差が6、優勝した三菱重工浦和レッズレディースとは勝ち点差16と大きく離された。

さらに得失点差を見ると、上位4チームは失点数はそこまで大きく変わらないものの、優勝した三菱重工浦和Lは+38、2位のINAC神戸レオネッサは+27、日テレ・東京ヴェルディベレーザは+29なのに対し、新潟Lは+8となっている。

滝川選手は“トップ3”のチーム(=INAC神戸レオネッサ、三菱重工浦和レッズレディース、日テレ・東京ヴェルディベレーザ)との「決定力の差」を痛感したシーズンだったという。

「トップ3のチームは、少ししかないチャンスでも絶対にものにしてきます。本当に1人1人のレベルがすごく高くて、ボールをつなげるし、ゴール前まで行けるというのもありますが、少ないチャンスでも絶対に掴み切るからこそ、得点力が圧倒的に違いましたし、私たちもそこが課題だと思っていたんですけど…」

”決めきる力”を求めて…

チームで戦術的に相手を攻略するだけではなく、個人でもレベルアップを。そんな滝川選手が昨シーズンから意識的に取り組んできたことが、”筋トレ”だ。

「自分自身、やっぱり背が小さいということものあるので、大きな体の選手に負けないように下半身を強くして、相手よりも一歩早く出るところは意識してトレーニングしていました」

画像提供:アルビレックス新潟レディース


相手よりも一歩早くボールに絡んだり、守備ラインの裏に抜けたり、ドリブルを仕掛けたり… 滝川選手の積極的な動きがさらに輝きを増したのは、普段の筋トレのおかげだったのかもしれない。

さらに昨シーズンはペナルティーエリアの外側からも積極的にゴールを狙う姿勢も目立った。滝川選手は「“感覚”というか、“嗅覚”というか… 無意識の部分でもありますけど」と笑顔で言葉を続けた。

「ペナルティーエリアの外からも狙えて、ゴールの枠に飛ばすことができるということは、自分の中でも成長出来ている部分かなというふうに思っています。ペナルティーエリア内で勝負することは得点を上げるには当然必要なことですが、守備にあうことも多いので、ペナルティーエリアの外からもシュートを打つ、狙う。それを決めきるということは、より重要になってくると思います」

周りに恵まれたサッカー人生の中で…

5つ上の兄がサッカーをしていたことから、自分もサッカーを始めたという滝川選手。小さい頃から前線のプレ―ヤーだったそうで、守備をするよりも、自分が点を取って、相手を抜いて、というのが好きだったという。

そんな滝川選手の意識が変わったのが、高校女子サッカーの強豪・常盤木学園高校への進学だった。

「1年生の時は部員が70人ぐらいいて、すごく多かったです。1年生は練習についていくのに必死でしたが、その中でもチャレンジリーグ(当時のなでしこリーグ3部相当)があり、試合に絡むために練習の中でどれだけアピールできるかという、毎日がアピールの場でした。そこで、一段成長できたんじゃないかなと思います」

2年生になりレギュラーポジションをつかむと芽生えたのは、“周りを活かすプレー”。さらに、3年生になり「どうやったら勝てるか」と、勝利への執念を学んだ滝川選手は、高校卒業後にAC長野パルセイロ・レディースに加入。

「何度も壁にぶつかった」という苦しい時期を乗り越えられたのは「常に周りに恵まれてきたから成長できた」と感謝する。

「長野時代は横山久美さんにいろいろ教えてもらったり、新潟に来て1年目はなかなか上手くいかなかったりしましたが、そこでめぐさん(上尾野辺めぐみ選手)が自分の課題点を教えてくれたりだとか、一緒に練習に付き合ってくれたりとか。本当に周りに恵まれてきたサッカー人生だなあと思っています」

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