岩手県内各地の素材や味にこだわったスイーツをシリーズで紹介する「いまたべたいこだわりスイーツ」。4回目に紹介するのは、盛岡の老舗しょうゆ店が開発した、森の香りが特徴のプリンです。その香りの秘密とは?

こだわりのプリンを販売しているのは、しょうゆやみその醸造を始めて9月で110年を迎えるという盛岡市の老舗、浅沼醤油店です。


こちらがそのプリン。イタヤカエデのプリンです。
原料には岩泉乳業の牛乳などが使われまろやかな食感に仕上げられています。
そのお味は…

(食リポ 大崎真士)
「滑らかさと一緒に森の香りが口いっぱいに広がってとてもおいしいです」

森の香りを生み出しているのが、プリンに使われているシロップです。


盛岡市中ノ橋通にある浅沼醤油店の直営店「クラビヨリ」でリニューアルオープンに合わせて2023年9月に販売を始めて以来、独特な風味のプリンは口コミで人気が広がっているといいます。


浅沼醤油店の4代目、浅沼宏一社長にシロップの製法を聞きました。

(浅沼宏一社長)
「こちらが開発室になります」

盛岡市黒川の工場の2階にある開発室。
どうやらここに森の香りの秘密があるようです。


この開発室では、県産のミズナラやシラカバといった樹木をチップ状にしたものから香りやうま味の成分=エキスを取り出す実験が行われています。

(浅沼宏一社長)
「料理人の方が、素材を調理するのと同じような形で木材を切ったり、砕いたり、加熱したり、いろいろ調理をして最も適したおいしい香りや味がどこから出てくるのかを研究していく」

樹木由来のシロップは、サトウカエデなどの樹液を使ったメープルシロップが一般的ですが、浅沼社長はイタヤカエデの木そのものからエキスを取り出して、シロップを作っています。


シロップの製造には、しょうゆやみそと同じく発酵の技術を用います。
試行錯誤を重ねた結果、香料のバニラの主成分である「バニリン」の抽出に成功し、甘い森の香りのシロップを作ることができました。

プリンの開発担当の吉田成美さんは、このシロップの特徴を最大限に生かすことができるよう、牛乳と卵の配合や加熱温度を変えながらおよそ4か月かけて現在の味にたどりついたということです。

(吉田成美さん)
「岩手らしさを感じられる」「イタヤカエデを使用しているところが他にはないプリンになっている」「木の香りを楽しんで食べていただきたい」

浅沼社長が木にこだわるのにはある理由が。

(浅沼宏一社長)
「実はしょうゆとかウイスキーとかワインは木のおけの中で熟成させて木から琥珀色の色味だったり木の甘い香りだったり豊かな味や香りや色を取り出して商品に使ってきた」

長期熟成させる食品や酒との愛称が良い「木の味わい」これを短期間に効率よく取り出すことでさらなる商品開発も視野に入れています。

(浅沼宏一社長)
「皆さんに木から出るさまざまな風味を楽しんでもらえるようなものを企画したい」

森の香りが特徴のプリンは、老舗しょうゆ店のこだわりがつまった特別なプリンでした。

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