熊本県南小国町で、地元の人たちに長く愛されてきたラーメン店が8月30日に閉店します。しかし、その味と記憶は形を変えて受け継がれるようです。

「もったいない、続けてほしい…」惜しまれ閉店決意

地元産を中心に、数種類の味噌を独自にブレンドして作られた味噌ラーメン。1995年創業の『福一ラーメン』の看板メニューです。

「おいしいですよ。もったいない、続けてほしいですよ」

店主の畔柳喜司(あぜやなぎ きよし)さん(75)は、妻の律子(りつこ)さん(84)と二人三脚で店を守ってきました。

福一ラーメン店主 畔柳喜司さん「お客さんの『美味しかった』の一言。帰りに言ってくれるのか嬉しいし、それがモチベーションになる」

しかし畔柳さん夫婦は、コロナ禍での休業や年齢による体力の衰えを感じはじめました。後継者もいないため、3年ほど前に『店を誰かに引き継いでほしい』と商工会に相談しました。

「若い人」が味噌を受け継ぐ

交渉が進み、先日、小国町のそば店に勤務している岩本竜太(いわもと りゅうた)さん(45)が後継となることが正式に決まりました。

これまでのラーメン店ではないものの、味噌を受け継ぎ、そば屋として生まれ変わります。

畔柳さん「今度は若い人だから、色々な物をフルに活用できると思うんでうまくいくと思う。期待しています。自分はそば好きだから、週に2、3回は寄ろうかなと」

最後まで「愛される店」として

福一ラーメン閉店まで残り4日となった8月27日、最初にやってきたのは、店の常連でもある岩本さんでした。

後継 岩本竜太さん(45)「食べおさめしておこうかなと思って」
「いただきます…(麵をすすって)沁みますね。おいしいです、やっぱり」

店はすぐに満席になりました。

常連客「きのうも来たんです。大好きです、これ(味噌ラーメン)しか注文しないです。30日(最終日)も来たいと思います」

店を守り続けた29年を、畔柳さんはこう振り返ります。

畔柳さん「こだわってきて良かったかなって。ただ、美味しいものを出そうという気持ちだけで頑張ってきた」

住民の胃袋を満たしてきた福一ラーメン。最後のひとりまで、おいしさを届けます。

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