オレンジの記録的な不作、世界的な品薄状態が続いている中、急速にシェアを伸ばしている「オレンジジュース自販機」があります。その販売戦略に迫りました。

空港に出現「搾りたてオレンジジュース」

7月4日、阿蘇くまもと空港の1階に人だかりができていました。人々の視線の先にあるのが、その場で搾りたてのオレンジジュースが飲める自動販売機です。

この自販機、シンガポールからやってきました。

世界34か国で飲まれる味

IJOOZ 髙野美咲 マーケティング課長「シンガポール人の80%が飲んだことがあると言われておりますので、シンガポールでは日常の風景の中にオレンジが飲まれているような状況です」

シンガポールでの設置台数は1000台以上。世界34か国に展開していて、自販機の液晶画面に表示された売り上げカウンターは「119,940,158」つまり約1億2000万杯(7月4日11時27分18秒時点)。撮影中も、そのカウントは止まるところを知りませんでした。

日本でも去年4月に販売をスタートさせ、設置台数は1年3か月で約600台に。今年中に1000台にまで増やす予定で、販路を急速に拡大しています。

髙野課長「多いところでは90分待ちで並んで購入いただいているような施設もございます」
――「アトラクションですね」
髙野課長「アトラクションです」

阿蘇くまもと空港では毎日100杯を売り上げていて、最近では熊本市のバスターミナル『サクラマチクマモト』にも進出しました。

人気のワケは、オレンジジュースの製造過程を見て楽しめるところです。

「濃厚さが違う」

お金を入れると生のオレンジが自動で運ばれ、プレッサーの中に。45秒ほどで搾りたてのオレンジジュースになって出てきます。

運ばれていくオレンジ

水や砂糖は使っていないという味を体験するため、記者も購入してみました。

記者「ミカンそのものを食べたときのような濃厚な味わいです。冷たくておいしいので、暑い夏にぴったりだと思います」

購入した人たちの反応も上々のようです。

「濃厚さが違います」
「すごい!ミカン!オレンジを食べているような感じ」
「いま搾りたてみたいなフレッシュな感じが伝わってきます」
「果汁100% おいしい」

不況を乗り越える戦略とは

日本だけで1日3万個消費されるという自販機の中のオレンジ。ただ、日本で販売されるオレンジ果汁の最大の輸入先・ブラジルでは記録的な不作が続き、円安の影響も加わって品薄や価格の高騰が続いています。

そのような中、どのようにして供給を確保しているのでしょうか。

髙野課長「大きかったり小さかったりちょっと傷があったりとか、ちょっと色が違ってたりとかあるんですけれども、そういったものも全て利用させていただいてます」

輸送コストが安いアメリカやオーストラリアから、スーパーなどには並べられない不揃いなオレンジを大量に仕入れています。

一方で搾り終わった皮は破棄せず、動物の飼料や化粧品、洗剤などに再利用しています。

髙野課長「熊本においては8月までにあと20台ほど増やしていきたいなと思っております。まだまだ増やしていきます!」

トレンドをけん引するオレンジジュース自販機、あつ~い熊本の夏にぐいっと食い込んできそうです。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。