(4日、春季中国地区高校野球大会決勝 倉敷商5―6尾道)

 4点を追う倉敷商(岡山)は八回、1死一、三塁として菰口(こもぐち)将仁(2年)が左打席に入った。尾道(広島)の先発投手を見て、「この変化球を打つのは右打者では厳しい」と見た梶山和洋監督が、二回の守備から交代で入れていた。

 打順は8番で、続く9番は味方投手に打席が回る。「自分が打って流れを持ってこようと思った」。速球が得意だが、初球はチェンジアップを空振り。ただ、「ボール球に手を出したとマイナスに感じず、初球からしっかり振れた、とプラスに切り替えた」。2球目はボール。そして3球目、内角低めへ再びチェンジアップがきた。「とらえてはいないけど、頭にあった球種なので振り抜けました」。一塁線を抜く2点三塁打に。この回、敵失でさらに1点を加え、最大5点差を九回には追いついた。

 同学年の溝尾真希と右翼の定位置争いを続けている。春の県大会は自分が背番号「9」だったが、今大会は溝尾がそれをつけ、自分は「19」。ただ、1回戦も準決勝も先発し、準決勝では春秋通じて中国大会4連覇を狙った広陵を破る決勝適時打を放った。「脚力があって守備範囲が広く、打撃もしぶとい。明るく前向きなところがいい」と梶山監督は言う。

 ただ、この日はサヨナラ負け。梶山監督は「夏に勝つチームは、この展開でひっくり返す。このままじゃまた惜しいところで終わる」と厳しい。菰口は「夏までに変化球への対応をしっかりしたい」と課題を見据えた。(大野宏)

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