(1日、プロ野球 東北楽天ゴールデンイーグルス8―2東京ヤクルトスワローズ)
楽天のプロ3年目、松井友飛(ともたか)がようやくつかんだ今季初先発のチャンス。後先を考えず、がむしゃらに腕を振った。
勝敗の分岐点は両チーム無得点で迎えた三回だった。
先頭のオスナに二塁打を浴び、犠打と四球で1死一、三塁のピンチを招いた。
- 楽天、2試合で計33失点の惨敗以上に気になること 観客盛況の影で
それまで速球系を意識させてきた分、2巡目を迎えて、変化球が生きる。1番の丸山和郁を空振り三振にしとめ、山田哲人は合わせただけの遊直に。先取点は許さなかった。
直後の攻撃で、村林一輝が左越えに先制の3点本塁打。6回を被安打2の1失点にまとめ、今季初勝利となるプロ2勝目をつかんだ。
石川県穴水町出身の右腕はこの日、まっさらなマウンドで誓った思いがある。
最大震度7を記録した能登半島地震からちょうど5カ月。「きょうが5カ月と自分でも分かっていた。能登の人たちのためにもしっかりがんばろうと思って投げた」
実家に帰省していた今年の元日。初詣を終えたあと、大きな揺れを経験した。実家に大きな被害はなかったものの、日本海の近くに住む祖母らが避難してきた。
「僕の家は町から離れていたんで。でも、(中心部は)家が倒壊し、自分の住んでいた町とは思えないような感じでした」
そして、1年の計を立てた。
「僕は野球で頑張ることしかできないので、今年は野球で頑張りたい」
開幕ローテーション入りは逃したものの、2軍で結果を残して1軍に昇格してきた。
この日、今季3試合目の登板で、駆けつけた母が見守る中、チームを今季初の4連勝に導いた。それでも、安穏としていられる立場ではない。
「これからもチャンスをいただけるか分からないですけど、もらった環境でしっかり結果をだすだけ。引き続き、頑張りたい」
これまで「楽天の松井」と言えば、今季から大リーグのパドレスに移籍した左腕の松井裕樹を思い浮かべる人が多いだろう。
穴水高時代は公式戦で一度も勝てず、金沢学院大学で腕を磨いてプロ入りした24歳の右腕にとって、大きくアピールする1日となった。(笠井正基)
■「力強い球投げ込んだ」
村林(楽) 三回に先制3ラン。「ゴロよりフライを打とうと。結果的に本塁打になって、たまたま良かった」
今江監督(楽) 6回1失点で今季初勝利の松井について「持ち味の力強い球を投げ込みながら、最少失点で仕事を果たしてくれた」。
楽天が今季初の4連勝。松井が6回1失点と好投して今季初勝利。打線は三回、村林の3ランで援護した。ヤクルトは2分けを挟んで5連敗。
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