報知新聞社は1日、大阪本社編集局の記者(51)がスポーツ報知ニュースサイトで連載中の「甲子園100年物語」の記事で、武庫川女子大学名誉教授の丸山健夫氏が講演した記録や、同氏が毎日新聞に寄稿した連載から盗用していたことが分かったと発表した。「重大な報道倫理違反」としており、丸山氏と毎日新聞に謝罪している。

 発表によると連載は4月9日に始まり、ニュースサイトに16回の記事を掲載。大阪本社版では初回と7回目は特別版として紙面にも掲載したが、対象となる記事は全文削除した。「近く記者を厳正に処分するとともに、上司の監督責任を問う」としている。

 同社によると執筆を担当した記者は丸山氏の講演を聴講したり、過去の講演を動画サイトで視聴したりしたほか、毎日新聞兵庫版で連載された同氏の寄稿「甲子園歴史旅」を読んでいた。連載開始前の3月下旬、記者は同氏にメールで企画への協力を依頼したが、実際には一度も本人への取材をせず、引用について知らせることもなかったという。一方、記事は丸山氏の寄稿などと構成が酷似していたほか、表現が全く同じ箇所もあった。

 5月下旬、丸山氏が問題点を認識して指摘して盗用が判明したという。報知新聞社は「連載記事の大部分が盗用だったことを深刻に受け止めている。記者教育を見直し、徹底した再発防止に取り組む」としている。

報知新聞社「聞き取りなどで盗用と判断」

 報知新聞社企画本部(広報担当)によると、同社は当該の記者への聞き取り調査などをふまえて盗用と判断したという。1日早朝のニュースサイトでの告知と、当日の紙面に掲載された記事をもっての発表だったことについては「何らかの意図をもって土曜日の紙面およびニュースサイトに掲載したわけではない。昨日、丸山名誉教授に面会して謝罪を行うなどして読者、ユーザーの皆様にお知らせできる状況が整ったため、速やかに紙面等に掲載した」としている。(編集委員・後藤洋平)

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