2023年10月に開幕したプロバスケットボール男子Bリーグ3部(B3)で、初参戦した「徳島ガンバロウズ」(徳島市)はプレーオフに進出し、悲願のB2昇格まであと一歩に迫った。24年5月のシーズン終了後も主力選手らは次々と再契約に合意しており、今秋に開幕する来シーズンでのB2昇格に向けて決意を新たにしている。【山本芳博】
あと一歩でB2昇格を逃す
B3の8シーズン目では、23年10月~24年4月に全18チームが総当たりのリーグ戦を行った。ガンバロウズは、試合会場の入場料収入があるホーム(徳島県内)と県外のアウェーで26試合ずつ戦った結果、31勝21敗で5位に入りプレーオフに進出。初戦でさいたまブロンコス(リーグ4位)には競り勝ったが、準決勝で福井ブローウィンズ(同1位)に敗れ、あと一歩のところでB2昇格を逃し、最終的には4位だった。
監督に当たるヘッドコーチ(HC)のデマーカス・ベリー氏(40)=米国出身=はシーズンを振り返り、チームの平均年齢がB3の中でも低いことに触れ「若い分、ハングリーでがむしゃらで勢いはあったが、やはり要所で経験値の足りなさを感じた」と言及。56試合中55試合を観戦して応援した同市の会社員、宮本竜成さん(23)も「若くて力はあるので、あとは経験や知識が必要。海外の有名チームでプレーしていたベテラン選手が加入すれば流れを変えられ、チームはさらに良くなるだろう」と話す。
運営会社「がんばろう徳島」(同市)の藤田恭嗣代表(50)は「チームに安定をもたらすベテランを入れることが一番大事だ。今季は混乱しながらもB2昇格の一歩手前まで行けたが、安定感のあるスター選手が増えればチームはさらに強くなるだろう」との見通しを示した。
アリーナ整備は実現するか
シーズン中のホームでの総入場者数は3万3732人(1試合平均1297人)で、初年度の興行成績としては好調だった。Bリーグは26年秋開幕のシーズンから、現在の成績順位による昇降格ではなく、経営面の基準でB1、B2、B3いずれかへの参入が決まる制度に変更される。B2入りの主な条件は、年間売上高4億円、1試合当たりの平均入場者数2400人の達成と、本拠地として3000席以上を擁するアリーナを持つことだ。
25年にB2、28年にB1への昇格を目指すガンバロウズは、行政に5000席規模のアリーナを整備してもらったうえで、平均入場者数4000人と年間売上高12億円の達成を目標に掲げている。5000席のアリーナさえ完成すれば、B2、B1いずれへの参入も可能と見込んでいる。
後藤田正純知事は5月のシーズン終了後の打ち上げ会で「遠いところだと運営上の問題が起こるので、駅裏に作るのがアリーナの定石」と述べた。アリーナの建設候補地としてはJR徳島駅裏のとくぎんトモニアリーナ(徳島市立体育館)周辺が取り沙汰されており、動向が注目される。
多士済々の選手たち
ガンバロウズは18人の選手を擁する。試合でベンチ入りする12人のうち、スタメンの主力5人は、1番でポイントガードの塚本雄貴(ゆたか)主将(27)=神奈川県出身=▽3番で得点源のテイブリオン・ドーソン選手(27)=米国出身=▽4番で守備の要のジャワラ・ジョゼフ選手(26)=東京都出身=▽5番のジェレミー・コームズ選手(28)=米国出身=など。2番のポジションは流動的。また、1試合平均で2ケタ得点を達成した若狭功希選手(27)=香川県出身=も注目株だ。得意技は選手5人が外側にポジションを取る「ファイブアウト」という戦術で、外側から3点シュートを狙いつつも、ドリブルしてゴール下に走り込んでシュートを決める。
選手は単年で契約するケースが多く、シーズン終了後にBリーグの自由交渉選手リストに公示されると、他のクラブとも自由に交渉できる。5月8日にはジャワラ選手と駒水大雅ジャック選手(25)=奈良県出身=がリストに公示されたが、ジャワラ選手は23日にガンバロウズとの再契約合意が発表された。
B1やB2でのプレー経験も持つジャワラ選手は、より多くの出場機会を得るためガンバロウズに移籍してきた。今シーズンは56試合全てに出場し、相手チームの1番から5番までを相手に「全方位」での守備が可能な万能ディフェンダーとして活躍した。
ファンから主将の塚本選手に次ぐ人気を誇る駒水選手は契約未更改。塚本選手と若狭選手はリストに公示されることなく、5月20、21日に再契約合意が発表された。今はB1やB2の所属選手が続々とリストに公示されているさなかだ。今秋の来季の開幕に向けて「新生ガンバロウズ」はどんな陣容になるのか。選手の補強を巡る今後の契約合意発表に注目が集まる。
四国のプロバスケットボールチームでは、同じくB3に所属する香川ファイブアローズ(高松市)が今シーズンは3位に食い込んだ。B2の愛媛オレンジバイキングス(松山市)は、今シーズンは西地区で7位と最下位だったが、東地区7チームと合わせた計14チームでは12位で、B3への自動降格となる下位2チーム入りはぎりぎり免れ、B2残留を果たした。
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