引退した競走馬のセカンドキャリアを支える新組織が今春、立ち上がった。引退する競走馬は年約6千頭。そのほとんどが寿命を全うできないとされ、競馬業界全体で対策に取り組む。

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 馬の一時預かり事業を始めるのは一般財団法人「Thoroughbred Aftercare and Welfare(サラブレッド・アフターケア・アンド・ウェルフェア)」。宇都宮市の日本中央競馬会(JRA)施設内に馬の待機場を設ける。1、2カ月ほど約30頭を無償で預かり、乗馬用の再トレーニングも受けさせる。

 取り組みの背景には、近年のアニマルウェルフェア(動物福祉)の意識の高まりがある。馬の寿命は25歳ほどだが、競走馬は一般的に3~6歳に引退する。競馬を管轄する農林水産省によると、2022年は約6千頭の競走馬が引退した。けがや成績不振で急な引退が決まっても、欧州と比べて日本には乗馬クラブが少なく、すぐに行き先が見つかることはまれだ。

 引退後に乗用や繁殖用として引き取られる馬もいるが、最終的に食肉用になる馬は「相当数いる」(農水省)という。このため、法人が受け入れ先が見つかるまでの「時間稼ぎ」をする。(酒本友紀子)

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