日本ハムの山崎福也投手=北広島市のエスコンフィールド北海道で2024年4月2日、貝塚太一撮影

阪神―日本ハム(30日・甲子園球場)

 本職は投手だが、打撃に関心が集まるのもこの選手の魅力だろう。日本ハムの先発・山崎福也投手がアナウンスされた打順は「6番」だった。指名打者(DH)制のないセ・リーグの本拠地で打席に立ち、バットで魅了した。

 打撃センスを発揮したのは四回の第2打席だった。無死一、三塁の好機で左打席に入ると、1ストライクから外角高めのボールをお手本のように逆らわずに打ち返した。打球は遊撃手の頭を越えて中前へ。先制点をたたき出し、一塁塁上では両手を突き上げて満面の笑みを浮かべた。

 試合前の先発メンバー発表で、山崎投手の打順が6番でアナウンスされると甲子園はざわついた。それだけ投手が6番を打つことは珍しい。29日現在でプロ通算22打数6安打、打率2割7分3厘。新庄剛志監督が打力を買ってのサプライズ起用だった。

 打つことが大好きだ。東京・日大三高3年の時、準優勝した春のセンバツ大会で計13安打を放ち、個人大会通算の最多安打タイ記録を達成したほどだ。

 昨季まで在籍していたオリックスもパ・リーグでDH制があるため、交流戦以外で投手が打席に立つことはほぼない。昨年に初めて選出されたオールスターでは打者として出場機会はなかったものの、バッティング手袋を用意し、数日前から素振りで練習するほど打撃への意欲は強かった。

 山崎投手はこの試合の前日も「打ちたいです」と意気軒高に話していた。自らの先制打で打線を勢いづけ、先発としても7回無失点と好投。投打で甲子園を沸かせた。【荻野公一】

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