プロバスケットボールのBリーグは28日、年間王者を決める「日本生命FINALS」(2戦先勝方式)の第3戦が横浜アリーナであり、広島(ワイルドカード1位)が琉球(西地区2位)を65―50で破って2勝1敗とし、初優勝を決めた。広島は、宇都宮、A東京、千葉J、琉球に次ぐ5チーム目のリーグ優勝となった。

 チャンピオンシップの最優秀選手には6割近い成功率で3点シュートを決めた広島の山崎稜が選ばれた。

 広島は前半、4割以上の成功率で3点シュートを決めた。6点リードで折り返すと、第4クオーターにエバンスらが得点を重ね、2連覇を狙った琉球を突き放した。

 前半終了間際、広島の勢いを象徴する防御が出た。176センチの相手司令塔・岸本のドリブルを、208センチのセンター河田がはじいたのだ。

 ゴール下を主戦場とする河田。俊敏性では小兵に劣る。それなのに横の動きに瞬時に体が反応した。直後に決めた中村の3点シュートは前半終了のブザー後と判定されて取り消されたが、流れをたぐり寄せるのに十分なビッグプレーだった。

 互いに防御が売りの両チームだが、特徴は異なる。ビッグマンの高さと個々のフィジカルを軸とした堅守の琉球に対し、広島は相手の攻撃に対して変幻自在に陣形を変えられる柔軟性が強みだ。

 ドリブルを止めた河田だけでない。船生や中村は日本一のかかった大一番でブロックショットを決め、防御でチームを乗せた。「自分たちがコントロールできるのは防御の強度。そこだけはやり切りたい」。そう船生が語っていた通り、広島の集中力は40分間、途切れなかった。

 チャンピオンシップ8試合で広島は2試合を落としているが、実は後半のスコアではすべて勝ってきた。前半に出た課題をつぶしていく防御の適応力。山崎の正確な3点シュートに象徴される勝負強さ。試合中に尻上がりに強くなっていくチームは、ワイルドカードからしぶとく勝ち上がった伏兵の成長と重なった。

 「挑戦者の気持ちで楽しんだ」とは23歳の司令塔・中村。伸びやかに下克上を成し遂げた。(野村周平)

 朝山正悟(広島) 現役最後の試合で有終の美。「もう何もいうことないです。夢のようです。決勝でコートに立つことはなかったけど、みんなと一緒のように戦えた」

「はかない」 かみ合わなかった琉球

 昨季王者の琉球は最初の攻撃でパスミスが出るなど、歯車がかみ合わなかった。後半に入ってエース今村を中心に食らいついたが、シュートがなかなか決まらず終盤はいらだちが垣間見えた。長いシーズンを終えたベテランの岸本は「はかないな。喪失感がでかくて。来季を考えるには少し時間がかかる」と話した。

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