第76回春季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)は26日、前橋市の上毛新聞敷島球場で決勝が行われた。白鷗大足利(栃木1位)が常総学院(茨城1位)に延長10回タイブレークの末、5―4でサヨナラ勝ちし、9回目の出場で初の栄冠に輝いた。栃木県勢は昨秋の関東大会で作新学院が優勝しており、秋春連覇となった。

 夏の第106回全国高校野球選手権栃木大会(県高野連、朝日新聞社主催)は、6月19日に組み合わせ抽選会があり、7月12日に開幕する。

 後から登場する選手が次々に活躍する――。白鷗大足利の勝ちパターンだ。直井秀太監督は「うちにはスーパー選手はいないので(ベンチ入りした)20人全員の力を合わせないと勝てない。そういうチームづくりを心がけている」と話す。

 決勝も、まさにその通りの試合展開になった。

 中盤までは常総学院のペースだった。常総学院は準決勝で14安打を放ち、6点差をひっくり返して逆転サヨナラ勝ちした勢いがある。白鷗大足利はエースの昆野太晴(たいせい)(3年)が踏ん張っていたものの、五回、六回と立て続けに失点。攻撃も、走者を出しながら六回まで相手失策による1点しか奪えずにいた。

 だが、今年の白鷗大足利には後から登場し、こうしたムードを変えられる選手たちがいる。

 この日の投手陣では、七回途中から救援した野沢瑛斗(2年)だ。二枚看板の昆野と山口幸大(3年)が、ここまでチームを支えてきた。野沢は「ピンチの場面で心配はあったが、先輩たちが作ってきた試合を自分が崩してしまってはダメ」と必死の投球。「技術はないので気持ちを強く持つしかない」との思いでピンチを切り抜けた。昆野は「大舞台でああいう投球ができたのは自信になったと思う」と頼もしそうだった。

 攻撃では、七回に代打で登場した富田光陽(3年)が反撃の口火を切る適時二塁打を放った。「何とか流れを変えたかった。つなぐ気持ちだったが、結果的に長打になった」と笑顔。直井監督は「チームに勇気をもたらした。1点が試合を大きく動かした」とたたえた。

 1カ月半後に夏の大会が始まる。関東勢は、昨春から山梨学院、慶応(神奈川)、健大高崎(群馬)と3回続けて甲子園を制した。栃木県勢は昨秋に作新学院が関東大会を制し、今春は白鷗大足利が優勝。栃木大会は例年以上にレベルの高い好試合が期待される。

 白鷗大足利は、直井監督が主将を務めた2014年の選抜大会以来、10年ぶりの甲子園を目指す。直井監督は「毎年(敗れて)涙する3年生の姿を見て、このままではいけないと覚悟を決めた。選手に(本当の勝負は)夏だぞと強く言いたい」。

 夏へ向け、多くの手応えを得た白鷗大足利の少し長い春が終わった。(津布楽洋一)

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白鷗大足利・直井秀太監督の話

 「良い面での収穫もあったが、拙攻が続くなど、収穫より反省の方が大きい大会だった。選手たちには、本当はナイスゲームと言ってあげたいが、まだ我々は目標を成し遂げていない。夏の甲子園に出場して勝てるようになってきた時に、初めて褒めてあげたいと思う。大会を通して成長は見られたので、その点は良かった」

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