大の里が初優勝し涙ぐむ父の中村知幸さん(中央)=両国国技館で2024年5月26日、宮間俊樹撮影

 大相撲夏場所(東京・両国国技館)千秋楽が26日行われ、新小結・大の里(23)=本名・中村泰輝=が初の幕内優勝を果たした。2023年夏場所から所要7場所での「最速優勝」の快挙に、千秋楽を国技館で観戦した父知幸さん(48)は涙を見せ、喜びをかみ締めた。

 大の里は石川県津幡町出身。地元から駆けつけ、勝てば優勝が決まる阿炎との大一番を見届けた知幸さんは「入門して1年足らず。夢にも思わなかった」。千秋楽の協会あいさつで、役力士として土俵に立つ息子の姿も目に焼き付けた。

初優勝し賜杯を八角理事長(右)から受け取る大の里=両国国技館で2024年5月26日、宮間俊樹撮影

 大の里は11勝を挙げた3月の春場所も終盤まで優勝争いを演じ、早くも存在感を高めている。知幸さんは息子のハイスピードの成長に目を細めつつも、緊張感ある取組が続くことに「楽しく相撲を見られないんですよ、本当に……」と苦笑いも浮かべる。

 知幸さんの前では「ぺちゃくちゃしゃべるのではなく、必要なときに一言、二言話すタイプ」という大の里。小学1年で始めた相撲に関しては、気持ちの強さを発揮していたという。「小学生も高学年になると成長に差が出て、体の大きい相手に負けると『もうダメだな』と思ってしまいがち。だけど、彼はやられたら、その倍、やり返そうとしていた」と振り返る。

新潟県立海洋高時代に地域の催しに参加する大の里(右)=田海哲也さん提供

 小学校卒業後は、街ぐるみで相撲を盛り上げる新潟県糸魚川市への「相撲留学」に送り出した。快挙を果たしても、知幸さんはさらなる飛躍に思いをはせる。「(元横綱の)北の湖さんのように、『憎たらしいほど強い』と呼ばれる力士になってくれれば」と期待を寄せた。【岩壁峻】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。