(26日、高校野球・春季近畿地区大会1回戦 須磨翔風3―1大阪学院大)

 六回2死二、三塁。マウンドにいた須磨翔風(兵庫)のエース槙野遥斗は、ギアを上げた。

 相手の5番打者を迎え、狙うは三振。フルカウントまで持ち込まれたが、焦りはなかった。最後は直球でバットに空を切らせ、打ち取った。「思った通りにいきました」。試合後、ほほえんだ。

 昨秋の近畿大会は準々決勝で耐久(和歌山)に敗れ、今春の選抜大会出場を逃した。その試合でチームは4失策を記録。「(味方のミスを)自分でどうカバーできるか」を考えた。要所で三振を奪える投手になることをめざした。

 直球の質を上げるため、この冬で体重を3キロ増やし、身長も1.5センチ伸びた。今は183センチ、85キロに。体が大きくなった分、柔軟性をなくさないように、家でのストレッチを欠かさない。股関節が柔らかくなり、体が開きにくくなったことで、打者から球の出どころが見えづらくなった。

 直球にある程度の手応えを持ち、臨んだ近畿大会。完封を狙った九回、2死三塁から直球を右前に運ばれ、1失点した。それが唯一の失点で、被安打3、6奪三振で投げきった。「まだ直球の強さは課題。いまは143キロだけど、常時150キロを出せるようになりたい」

 学校の先輩には、阪神の才木浩人がいる。セ・リーグトップタイの5勝(25日現在)を挙げ、チームを引っ張る189センチの長身右腕の、腕の振りを参考にしている。「自分も翔風からプロに入って活躍したい」

 憧れの先輩へ少しでも近づくため、成長を続ける。(大坂尚子)

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