第76回春季関東地区高校野球大会(関東地区高校野球連盟主催、朝日新聞社など後援)は25日、前橋市の上毛新聞敷島球場で準決勝2試合があった。初のベスト4入りを果たした白鷗大足利(栃木1位)は帝京(東京1位)に3―1で競り勝ち、栃木県勢としては2005年の作新学院(優勝)以来となる決勝に進んだ。決勝は26日に同球場で行われ、白鷗大足利は準決勝で東海大菅生(東京2位)を下した常総学院(茨城1位)と頂点を競う。(津布楽洋一)

 試合終了後、応援スタンドに向かってあいさつをした白鷗大足利の選手たちの表情は、自信に満ちあふれていた。準々決勝の東海大相模(神奈川2位)に続き、複数回の甲子園優勝を誇る強豪校を撃破。春の快進撃は止まりそうもない。

 帝京は今大会、準々決勝までの2試合で計6本の本塁打を放った強力打線が持ち味。直井秀太監督は「どこから対策をしたらよいのか、すきがなくバランスの取れたチーム」と悩んだ。勝機を見いだすとすれば「ロースコアに持ち込むしかない」。選手たちは、まさにその試合を実現してみせた。

 立役者は背番号10の先発投手・山口幸大(3年)だ。身長170センチで有力校の投手としては大きくはない。だが強気の投球は、プロからも注目されているエースの昆野太晴(3年)に劣らない。

 帝京の打者は「今までの相手とは違う。打席に立ったときの威圧感を感じて投げにくかった」という。それでも「打てるものなら打ってみろという気持ちで初回から全力で投げた」。速球は自己最速の144キロを記録。勝負どころは速球で空振りを奪い、7回を被安打5、無失点に抑えた。

 昨年秋の県大会決勝では、昆野から引き継いだマウンドでリードを守れず、作新学院に逆転負け。その悔しさを忘れず、冬のトレーニングに励んだ。体重は10キロアップ。同時に球威も増した。「注目されている昆野と2人で勝てたのはうれしい」と声を弾ませた。

 八回から登板した昆野も「誰が先発でもチームが勝つためにすることは変わらない。相手がすごい打線なので、自分の力がどこまで通用するか、ワクワクした」と笑顔を見せた。投手の二枚看板が確立した白鷗大足利が、いよいよ関東の頂点に挑む。(津布楽洋一)

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 相手の強力打線に立ち向かった投手陣をリードしてきた捕手の小野寺応助(3年)が七回、勝負を決める適時二塁打を放った。

 「投手が粘ってよい投球を続けてくれた。それに応えたいという気持ちがあった」。走者を二塁に置いた好機で「真ん中に浮いたストレート」を逃さずにとらえた。決勝も「もっとチームの力になれたら」と活躍を誓った。

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