最下位に沈む西武の課題は明確だった。試合前までの107得点は、12球団で最少。長距離打者が不在の打線で、いかに得点を稼ぐかだ。

 その解を示したのが、3点を追う七回だった。

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 相手投手の直球はうわずっていた。それを狙い、転がす。4者連続で中堅方向へ安打を放ち、反撃が始まった。

 1点をかえし、なお無死満塁。不振だった代打佐藤龍が中犠飛を放ち、1点差に迫る。最後は、2死満塁で外崎が左前へ逆転の2点適時打を放った。この回、9人が打席に立ち、単打6本で試合をひっくり返した。

 これまで主砲だった山川は昨オフにフリーエージェントでソフトバンクに移籍し、代わりに迎えた新外国人2人は不振とけがで2軍落ち。そして打線は空回った。嶋打撃コーチは「それぞれが点をとらなきゃと力みすぎて、自分のスイングができていない部分があった」。

 18日のソフトバンク戦で自力優勝の可能性が消滅し、22日で7連敗。オリックスとの今カードに入る前日の23日、首脳陣は口をそろえて選手に伝えた。「勝つために自分にできることをイメージしよう」。長打に頼らず、得点を積み重ねようとした。

 殊勲の外崎は言う。「自分が何をするべきかをもっと深く考えれば、点を取る確率は上がる」。ないものねだりはしない、西武打線のあり方が見えてきた。(平田瑛美)

 外崎(西) 七回に逆転適時打を放つ。「つないでもらったと強く感じる打席だった。自分が何をするべきか深く考えれば、点を取る確率は上がる」

 中村剛(西) 二回のソロで金本知憲(神)を超える歴代単独10位の通算477本塁打。「勝ったことが良かった。まだまだ打てるように頑張ります」

 松井監督(西) 「七回はチームプレーで、見事な攻撃だった。非常に粘りがあって、選手がつなぐ意識を強く持ってくれていた。よく逆転してくれた」

 与座(西) 七回に3番手で今季初登板し、初勝利。「僕より、野手のみなさんの頑張りによるもの。一人ひとりが自分の役割をやっていくしかない」

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