(23日、プロ野球 阪神タイガース2―1広島東洋カープ)
4番の意地だった。
- 現役ドラフトで躍進の阪神・大竹投手 精神科医がうなずく成功の要因
好機はいきなり訪れる。一回2死二塁。阪神の大山は2球で追い込まれたが、強気だった。「とにかく先制点を」。4球目、内角に食い込んできた速球に詰まりながらも、右前へ落とした。「しっかり振り切ることができた」。一塁上でホッとした表情を浮かべ、控えめに拳を握った。
昨季は全試合に4番で出場しチームを38年ぶりの日本一に導いた。が、今季は打撃不振に苦しむ。
打率は2割台前半に低迷。ついに4月14日の中日戦で4番から外れ、5月16日の中日戦ではベンチスタートを経験した。
それでも、「やるしかない」とプロ8年目の29歳。全体練習が始まる前から室内で若手に交じってバットを振り込んだ。
4番とは?
そんな質問に大山はきっぱりと言った。「4番が打てば勝つし、打てないと負ける。そういう存在だと思っている」
そして、続けた。「僕には、(ヤクルトの)村上(宗隆)君や(巨人の)岡本(和真)君みたいな怖さはないかもしれない。でも、嫌らしさでは負けてない」
豪快な本塁打やきれいな安打でなくてもいい。どん詰まりで、右翼手の前にポトリと落ちた先制打に、自身の価値が詰まっていた。プロ通算500打点目となった前日の先制打もしぶとく左翼線に運んだものだった。
この日は阪神にとってセ・リーグ通算1万試合目。節目の夜に4番が打ち、勝ち越しは今季最多の7に伸びた。(山口裕起)
西勇(神) 6回無失点で2勝目。「野手のみんながいい守りをしてくれたので、自分も乗っていくことができた」
大山(神) 一回、右前へ2試合連続の先制打。「追い込まれていたが、しっかり振り切ることができた」
岡田監督(神) 球団にとってセ・リーグ通算1万試合目を勝利で飾る。「そんなん知らんよ。もっと追加点を取れたら、楽な展開になっていた」
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。