大相撲夏場所12日目(23日、東京・両国国技館)
○琴桜(すくい投げ)若元春●
勝ちを拾い、賜杯争いに踏みとどまった琴桜の表情はさえないままだった。それでも、相手に分があった取組をものにした意義は大きい。手にした懸賞金の束の重みを、これまで以上にかみしめた。
立ち合いから若元春に左差しを許し、上手も取られる。寄られて上手投げを仕掛けられた。この展開は、若元春いわく「悪くなかった」。ただ、琴桜は土俵際で粘り、横向きになりながらすくい投げを打つ。最後は勝ち急いでバランスを崩した若元春が先に左膝をつき、勝負は決した。
自身に上がった軍配に物言いが付いた時点で、琴桜は「もう一丁行ける気持ちを作っていた」。結果的に軍配通りになっても、「(内容は)良くない」と渋い顔だ。
横綱・大関の相次ぐ休場に加え、上位陣の勝ち星も伸びず、今場所も複数の平幕力士が終盤まで優勝争いに絡んでいる。琴桜としては、自滅だけは避けたいところ。内容はどうあれ、負けがつかなかった重要性を問われると、「まあ、そうっすね」とうなずいた。
13日目の相手は、好調の平幕・湘南乃海。「目の前の一番に集中してやっていくだけ」。看板力士には、高い「壁」になる役目もある。【岩壁峻】
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