パラ陸上の世界選手権第6日が22日に神戸総合運動公園ユニバー記念競技場であり、男子走り幅跳び(義足・機能障害T64)でパラリンピック3連覇中のマルクス・レーム(ドイツ)が5回目に8メートル30(追い風0・9メートル)を跳んで大会7連覇を果たした。
- 跳びすぎる「義足のジャンパー」 マルクス・レームが闘ってきたもの
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神戸の地で世界最強のジャンパーが躍動した。
レームが跳ぶたびに観客席からどよめきがわく。しかし、表情はさえなかった。1回目に7メートル95をマークして以降、記録を伸ばせないでいた。
「風向きが変わり続けたので、ジャンプのフィーリングをつかむのに少し苦労した」
それでも、百戦錬磨の35歳は決めてくる。
5回目に初めて8メートルを越えて、やっと表情が緩んだ。自分自身をたたえるかのように何度も手をたたいて喜んだ。
「しっかりした距離を跳べた。すばらしい気分」
レームの跳躍は健常者の世界トップクラスさえもしのぐ。
昨年6月に世界記録8メートル72を打ち立てた。これは3年前の東京五輪優勝記録の8メートル41を31センチ上回る。健常選手の世界記録であるマイク・パウエルの8メートル95も射程にとらえる。
義肢装具士の顔も持つレーム。パラアスリートらの義足をつくる手伝いをしている。昨秋には日本で跳躍の技術などを学ぶ練習会を開催。20人ほどの日本人パラアスリートが参加した。
今大会の女子走り幅跳び(義足・機能障害T64)で銅メダルを獲得した中西麻耶は「(レームから)アドバイスをもらってしっくりきた。勉強になるし、気づきがあった」と感謝する。
8月開幕のパリ・パラリンピックでは大会4連覇がかかる。そして、期待されるのは前人未到の9メートル越えだ。
「この距離を跳ぶにはたくさんのことが必要。とても難しいけど、これが僕の目標だ。シーズンを通してトライし続けるよ」(辻隆徳)
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