パリ五輪出場が決まった(右から)宮田笙子、岸里奈、岡村真、中村遥香、牛奥小羽=高崎アリーナで2024年5月18日、玉城達郎撮影

 体操のパリ・オリンピック代表最終選考会を兼ねるNHK杯は18日、女子2回目が行われ、宮田笙子選手(19)=順大▽岸里奈選手(16)=戸田市SC▽岡村真選手(18)=相好ク▽中村遥香選手(16)=なんばク=の上位4人に加え、チーム貢献度で牛奥小羽選手(19)=日体大=が代表に選ばれた。

 パリ五輪に臨む女子の日本代表は「全員10代」「全員初五輪」とフレッシュな顔ぶれが並んだ。5人の平均年齢は17・6歳という若さ。田中光・女子強化本部長は「ちょっと怖い部分もありますけど」と笑った上で「逆にはつらつと、若い力というので当たると大きいという期待もあります」と自信を見せた。

 2021年の東京五輪後、団体総合5位に入ったメンバーの村上茉愛さん、畠田瞳さん、平岩優奈さんと体操界を引っ張った主力選手たちが相次いで現役引退した。もう一人の杉原愛子選手(TRyAS)も一度は一線を退くことを表明し、昨年復帰。急激な世代交代の波が押し寄せた。

 同時に日本協会としても着々と若手の育成と強化を進めた。特にこの数年、注力してきたのが平均台や床運動の「芸術性」の部分。強化指針などにも明記して、各選手が早い時期から表現力を磨くような環境を整えた。実際に岡村選手は、NHK杯の2回目では平均台で唯一の14点台となる14・066点をマーク。床運動では岸選手が全体トップの13・366点、岡村選手も同3位の13・333点だった。田中強化本部長は「平均台で14点を超えると世界でもメダルを狙える得点になる。ゆかの表現も皆、非常に良くなった印象」と強化の手応えを語る。

 パリ五輪で目標に定めるのは、団体総合でのメダル獲得。目安となるのが4種目合計165点だ。昨秋の世界選手権団体総合では3位のフランスは164・064点、日本は8位で157・496点だった。そこからの半年でさらに若手の突き上げは進み、田中強化本部長は「(各選手が力を出せば)計算上は165を超える得点を獲得できる。残り時間は少ない。しっかりポイントを絞って、安定感重視で強化を進めていきたい」と語った。

 体操女子団体は1964年東京大会での銅メダル以降、表彰台がない。60年ぶりの悲願成就へ、エースとして期待される宮田選手は「きれいな体操をする選手が多くて、皆違う個性もある。切磋琢磨(せっさたくま)していけば、メダルを狙えると思う」と決意を語った。【角田直哉】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。