22日号砲の全国高校駅伝で、今回から外国人留学生の起用は最短距離の3キロ区間(男子2、5区、女子3、4区)のみに制限された。留学生の走力が勝敗に大きく影響したことを受けてのルール変更で、21日発表のオーダーに各チームの思惑がにじんだ。
オーダーが発表された直後、留学生の男子選手は、複雑そうな表情を浮かべながら意気込みを語った。
「昨年までのように5キロ以上の距離(の区間)を走りたかった……。でも、(3キロでも)大丈夫」
留学生の起用を巡るルールは徐々に変化してきた。
都大路を留学生が走り始めたのは、1992年大会の仙台育英の男女のケニア出身選手から。活躍が際立つにつれ、95年から「留学生の出場は1人まで」、2008年から「最長区間の1区での起用禁止」と制限が加えられていった。
しかし、最長1区を走れなくなった後も留学生が勝敗を握った。08~23年の16大会のうち、男子は11回、女子は7回、留学生を起用したチームが優勝した。男子は2番目に長い3区でトップに立っての逃げ切り、女子は最終5区での逆転勝ちが目立った。
大会実行委員会は複数回のアンケートを実施したほか、検討を重ね、今大会からのルール変更に踏み切った。
最短距離区間のみとなり、いかに効果的に留学生を起用するか。
男子は2区が仙台育英など5校、5区が倉敷(岡山)など3校と、前半区間の起用がやや多かった。
札幌山の手(北海道)の梶山一樹監督は2区で起用したガユ・サミュエル(2年)について「流れを作るゲームチェンジャー」と評し、最短区間であっても重要な存在と位置づける。
一方、女子は3区が神村学園(鹿児島)や仙台育英など8校で、4区はゼロだった。
連覇を期す神村学園の有川哲蔵監督は3区にムトニ・マーガレット(1年)を起用し、「3区は上り基調で、地力が問われる。他のチームも地力に勝る留学生のメリットを(3区で)生かそうとしているのでは」と話した。
留学生を擁するチームの監督はルール変更について「主軸選手が一人いなくなったような状態」と受け止め、日本人選手の走りに期待を寄せる。日本人選手だけで戦うチームの指導者は「より競ったレースになる」と駅伝ならではの抜きつ抜かれつの展開を予想する。
レースの潮流が変わるかにも注目が集まる。【岩壁峻、下河辺果歩】
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