プロ野球再編問題などについて語る渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長=東京都千代田区大手町の同社で2004年9月2日、山下浩一撮影

 19日に98歳で死去した読売新聞グループ本社主筆の渡辺恒雄さんは、歯に衣(きぬ)着せぬ発言でも知られた。主な語録は次の通り。

渡辺恒雄さん語録

 ◆「一人の独裁者が空疎な理念を振りかざしても、スポーツは成り立たない」=1994年12月9日 ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)の親会社社長として、ホームタウン制を基本とするJリーグの川淵三郎チェアマンと対立して

 ◆「法的資格のない、あいまいな存在を現状のままで介入させたら、球界全体を汚染する」=1997年1月17日 契約更改時に代理人交渉を希望する選手側から声が上がっていることについて

 ◆「バカなフロントとバカなスカウトがダメ外人をぞろぞろ連れてきてバカな試合をしていれば、巨人軍は永久ではなくなる」=1997年8月8日 最下位に低迷する巨人の試合観戦後

 ◆「早期発見すれば治る病気。退院したら、この病気の本でも書きたい」=1998年1月6日 前立腺がんが見つかり、手術を受けることを明かして

 ◆「辞任すると言われても慰留する。巨人への貢献度は長嶋監督の方がオレより1万倍も大きいんだ」=1998年9月7日 契約最終年を迎えた長嶋茂雄・巨人監督の去就について聞かれ

 ◆「永遠の巨人を作るために、もう1年、面倒をみてください」=1998年9月12日 巨人の長嶋茂雄監督の続投を発表した記者会見で、辞表を提出した長嶋氏を慰留した言葉を明かした

 ◆「都内のカラス退治を石原(慎太郎東京)都知事にお願いしたよ」=2000年6月21日 ペットの九官鳥を狙うカラスを追い払おうと、ベランダから飛び降りて左腕を骨折し

 ◆「交渉に代理人を連れてきたら給料カットだ」=2000年11月2日 試験導入が決まった代理人制度に反発して。発言は衆院労働委員会でも取り上げられた

 ◆「彼らはブルジョアだぜ。マルクスは『失うものが何もないプロレタリアートが、鉄の団結で決起せよ』と言ったんだ。満ち足りた人がなぜ、ああいうことを言うのか、マルクスに聞いてみたいね」=2000年12月13日 待遇改善を求める労働組合日本プロ野球選手会を批判して

 ◆「金髪、モヒカンはいらない」=2002年11月25日 近鉄からフリーエージェント宣言した中村紀洋内野守との巨人の交渉が事実上決裂し

 ◆「実績などを考えれば、名誉回復の処置を取るべきだ」=2002年1月26日 球界首脳として初めて、八百長疑惑でプロ野球から永久追放された元西鉄投手、池永正明さんの処分見直しに言及

 ◆「(今後は)安全保障とか日本経済のことしか考えない」=2003年6月10日 巨人のオーナー職を退く意向を明らかにし

 ◆「巨人がリーグ優勝した場合には、日本シリーズに出場しないこともある」=2003年7月11日 パ・リーグが翌年から導入するプレーオフ制度などに反発し

 ◆「(来年は)中継ぎは4、5人連れてくればいい。どっかにいるだろ」=2003年7月30日 観戦した試合で中継ぎ陣が崩れ

 ◆「辞任とか解任とかいうことでなく、読売グループ内の人事異動だ」=2003年9月26日 原辰徳・巨人監督の辞任記者会見で

 ◆「巨人本位、セ・リーグ本位でやっていたら球界全体が沈没する。犠牲を払わないと球界再編はできない」「勝手に再編とか1リーグ制とか言っても、選手の犠牲をいかに少なくするかを考えなければ、現実的じゃない」=2004年6月16日 近鉄・オリックスの合併問題について。合併に伴う選手の救済にも言及していた

 ◆「プロ野球にはそれぞれ伝統がある。カネさえあればいいってもんじゃない」=2004年6月30日 プロ野球参入を目指したライブドア社に対して

 ◆「無礼なことを言うな。分をわきまえなきゃいかんよ、たかが選手が」=2004年7月8日 球界再編に向けた動きを受け、労働組合日本プロ野球選手会の古田敦也会長が「オーナーと会いたい」と要望したことを受け

 ◆「オレが話をする時間があれば、そんなばかなことはしないだろうが、(選手会と対話する)そのヒマがない。そういう大衆迎合的なまねはやめた方がいい」=2004年7月27日 オリックスと近鉄の合併反対の署名活動を行うことを決めた巨人選手会をけん制して

 ◆「憲法や年金、その他社会保障、財政金融の話ならいくらでもするが、野球の話はしない」=2004年8月17日 スカウト不正でオーナー職を引責辞任後に

 ◆「巨人がパ・リーグ移籍ということもあるでしょう」=2004年9月2日 球界再編でパ・リーグが4球団となる可能性が浮上したことを受け、毎日新聞のインタビューで

 ◆「巨人軍は歴史的な危機を迎えている。グループ各社の強力な支援態勢を確立するため巨人軍の経営に復帰、参画することにした」=2005年6月7日 巨人オーナー辞任からわずか10カ月で球団会長として復帰し、球団を通じてコメント

 ◆「(巨人は)いつも悪者だなー」=2007年3月26日 12球団で巨人が唯一、希望入団枠の撤廃に消極的に姿勢を見せて批判にさらされる中、会食後、ほろ酔い加減で報道陣の前に現れて

 ◆「1位じゃなきゃダメなんだ。それが与えられた(巨人の)宿命」=2010年3月23日 巨人後援会でのあいさつで、政府の事業仕分けを巡る当時の民主党議員の発言「2位じゃだめなんでしょうか」に触れ

 ◆「明るい活力を大衆に示すことができるのはプロ野球選手。選手が命がけでいいプレーをすれば元気が出るし、生産性も上がる」=2011年3月16日 東日本大震災発生後、開幕日を延期させる案が出る中で、強行開催を主張

 ◆「もう、しゃあない。(国などが)ガーガー言ってるんだから」=2011年4月4日 東日本大震災の影響で開幕日の4月12日への延期が決まり

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