プロ野球・ソフトバンクに支配下6人と育成12人の新人選手が加わった。球界唯一の4軍制を導入して選手間競争が激しさを増す中、2年連続で高校生投手をドラフト1位で指名。支配下では、高校と大学から各3人が入団する。育成は高校、大学、独立リーグの選手が並んだ。育成1位指名を受けた古川遼投手(東京・日本学園高)は入団を辞退した。【林大樹】
記憶と記録に残る投手に 1位 村上泰斗投手(17) 神戸弘陵高 背番号20
高校に入ってから本格的に投手を始めた右腕の伸び代に、期待は高まる。背番号は「20」に決まった。今季限りで現役引退した和田毅さんが付けていた背番号21に近い数字であることに触れ「憧れの(一人である)選手の番号に近くうれしい」と笑顔を見せ、「同じように長く活躍して、記憶にも記録にも残る選手になる」と決意を示した。
最速153キロの直球に2種類のスライダーやカットボールなど多彩な球種を操る。「三振を取るため」に直球と変化球を効果的に織り交ぜ、打者を手玉に取ってきた。特に、縦回転して急激に変化する落差のあるカーブには自信があり、米大リーグ・ドジャースの山本由伸投手と、オリックスの東晃平投手を参考にする。
プロでの目標は、最多奪三振と沢村賞のタイトルを取ることだ。「三振は捕手と2人で取るもの」と捕手を務めた経験も生かし、仲間と三振の山を築く。
入団会見では色紙へ丁寧な筆遣いで「見本」と記した。書道教室を開けるほどの実力がある母から「字は書き手の心が表れる」と言われ、意識してきた。「プロ野球選手は全ての面で、見本にならないといけない」。周囲への感謝と謙虚を胸にプロに挑む。
「準備が8割」盗塁生かす 2位 庄子雄大内野手(22) 神奈川大 背番号25
掲げた目標は「盗塁王」。50メートル走5秒7で走る逸材だ。
横浜市出身。大学まで地元で過ごした「生粋のハマっ子」で、横浜高2年で選抜大会に出場した。今季1軍でプレーした笹川吉康選手は、中学時代に所属したチームの同級生になる。
横浜高の村田浩明監督からは、阪神で盗塁王を獲得した赤星憲広さんの著書を読むように薦められ「準備が8割」という言葉を大切にしている。走り方に対する意識は変わり、分析を深めた結果、投手の足の角度や1歩目の踏み出し方などを改善。神奈川大学リーグで通算54盗塁をマークした。
プロでは今季3度目の盗塁王を獲得した周東佑京選手に弟子入りする意気込みを持つ。「全てを吸収したい。盗塁への心構えも聞いてみたい」と目を輝かせる。守備位置は遊撃手での勝負を目指す。
どこでも投げ現役長く 3位 安徳駿投手(22) 富士大 背番号28
福岡県久留米市出身の右腕は「小さい頃から憧れていたチーム。今までは見る側だったが、ユニホームを着ると気が引き締まる」と緊張しながらも、プロになった喜びを話す。
野球を始めた小学生から投手一筋。甲子園出場経験のある久留米商高を経て、大学は学校名も所在地も聞いたことがなく「(実家から1000キロ以上離れていて)遠いので現実的ではない」と、当初は考えていた岩手県の富士大に進んだ。
空振りの取れる最速152キロの直球と、5種類の変化球を駆使して制球力が身についた。4年春には北東北大学リーグで最優秀防御率賞を獲得するなど好成績を残した。
家族に自らがプレーする姿を長く見せたいと意気込み、目標を「現役20年」と掲げる。「先発でも中継ぎでも、どこでも投げます」と、新人王に向けて腕を振る。
走攻守とも縦横無尽に 4位 宇野真仁朗内野手(18) 早稲田実高 背番号46
高校通算64本塁打を放った実力者は「同年代で木製バットへの対応はかなりできている」と自信を持つ。
2024年夏の甲子園1回戦の徳島・鳴門渦潮高戦では、木製バットながらも、持ち前のパワーで左翼フェンスに直撃する豪快な逆転3点二塁打を放ち、観衆を沸かせた。
当初は「高校からプロというのが見えていなかった」と、早大への進学を一度は決意する。転機はU18(18歳以下)アジア選手権の代表合宿。日の丸をつけて高校日本代表として同世代の仲間と練習や試合を重ねると「ドラフト1位を目指している選手の姿に刺激を受けた」と、プロ志望届提出を決めた。
目標には「トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁以上)」を掲げる。「打って守れて走れる選手になりたい」と、縦横無尽に活躍する心構えは備わっている。
「挑戦力」で立ち向かう 5位 石見颯真内野手(18) 愛工大名電高 背番号67
春夏合わせて3度甲子園に出場した実力者は「深い守備位置から走者をアウトにできるような遊撃手になりたい」と、はっきりと目標を口にする。
高校で遊撃手としてデビューしたのは2023年秋から。強肩を生かして活躍すると、左打席から逆方向に強い打球を飛ばす打撃力も評価された。
同期入団で、ドラフト2位の庄子雄大選手と4位の宇野真仁朗選手とは同じポジションになるが「ドラフトの順位は自分の方が下だが負けるつもりはない」。自らの強みと語る「挑戦力」を前面に出して立ち向かう。
小学生から父と指してきた将棋が得意で、高校時代は敵なしだった。性格は勝つまでとことんやるタイプの負けず嫌いで、野球での目標は「首位打者になって打てる遊撃手と呼ばれたい」。強い意志で競争が待ち受けるグラウンドへ向かう。
「ハートの強さ」が武器 6位 岩崎峻典(しゅんすけ)投手(21) 東洋大 背番号69
大阪・履正社高2年の2019年夏の甲子園で優勝し、胴上げ投手を経験した。マウンド上では緊張しないという右腕は「投げている時は感じなかったが、試合が終わってからとんでもないことをしたんだなと思うようになった」と当時を振り返る。
最速153キロの直球と、カットボール、スライダー、スプリットなどの変化球を操って打者を翻弄(ほんろう)する投球が持ち味だ。「どのコースにも強気で投げる」と言い、一番の武器である「ハートの強さ」を前面に出すタイプの投手だ。
「支配下指名でプロに入れてうれしいが、上の順位の選手に負けたくない」という気持ちを胸に、プロでの目標は「勝つ」と決めた。「今まで投手をしてきて勝てる投手が目標だった。プロでも継続したい」。入団同期の投手で、最初にプロ初勝利を目指す。
新入団育成選手◇
順位 名前 位置 年齢 背番号 出身チーム
2位 曽布川ザイレン 内野手 18 121 静岡・浜松商高
3位 大友宗 捕手 25 125 茨城アストロプラネッツ
4位 広瀬結煌(ゆうき) 内野手 17 127 千葉・市松戸高
5位 河野伸一朗 投手 18 128 宮崎学園高
6位 川口冬弥 投手 25 132 徳島インディゴソックス
7位 津嘉山憲志郎 投手 18 137 兵庫・神戸国際大付高
8位 相原雄太 投手 22 138 仙台大
9位 岡田皓一朗 投手 22 140 大商大
10位 漁府輝羽(こうは) 外野手 22 143 東北福祉大
11位 木下勇人 外野手 18 147 千葉経大付高
12位 熊谷太雅 投手 18 149 宮城・東陵高
13位 塩士暖 投手 18 152 石川・門前高
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。