(左から)三浦佳生選手、鍵山優真選手、佐藤駿選手、山本草太選手

 フィギュアスケートの全日本選手権は20日、大阪府門真市の東和薬品ラクタブドームで開幕する。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピック出場枠が懸かる世界選手権(25年3月、米国)代表の最終選考会を兼ねた一戦。それぞれの思いがぶつかる国内最高峰の男子の戦いを展望する。

 昨季の世界選手権銀メダルで、日本勢では今季唯一合計300点超えを果たしている鍵山優真選手(オリエンタルバイオ・中京大)が初優勝を目指す。

 今季はフリーに4回転フリップを本格的に投入し、グランプリ(GP)ファイナル(12月5~7日、フランス)ではシーズンで初めて加点のつくジャンプを着氷。安定感のあるサルコウ、トーループに次ぐ、新たな4回転の武器となりつつあることに本人も手応えを得ている。ファイナルで「レベル2」と判定されたステップなど細部も修正し、初戴冠を狙う。

 懸念があるとすれば過密日程か。11月第2週に開催されたGPシリーズ第4戦NHK杯から約1カ月半の間で、全日本が4戦目。その間、2度の欧州への遠征もあった。ファイナル出場組全員に言えることだが、特にコンディション調整が鍵となりそうだ。

 ファイナルで3位となった佐藤駿選手(エームサービス・明大)は、今季ショートプログラム(SP)から安定して力を発揮。高難度の4回転ルッツの成功率も高まってきており、フリーで4回転フリップとの同時成功を目指す。全日本は過去4位が最高。表彰台に立てば、自身初の世界選手権切符もグッと近付く。

 昨季の世界選手権代表の三浦佳生選手(オリエンタルバイオ・明大)はフリーで崩れて6位に終わったNHK杯からの巻き返しを期す。

 前回大会3位の山本草太選手(中京大)、過去3度世界選手権代表の友野一希選手(第一住建グループ)もそれぞれ表彰台を争う力を秘めている。

 NHK杯で3位となり、GPシリーズでは自身初の表彰台に立った壷井達也選手(シスメックス)や今季限りで2度目の現役引退を表明し、11年ぶりの全日本参戦となる37歳の織田信成選手(大阪スケート倶楽部)、GPシリーズ第3戦フランス大会で2位となった島田高志郎選手(木下グループ)の滑りにも注目が集まる。

 男子は12年大会から羽生結弦さんと宇野昌磨さんの2人のみが優勝者に名を連ねており、08年大会優勝の織田選手以外は誰が勝っても初の「日本一」となる。【倉沢仁志】

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