仙台市太白区のカメイアリーナ仙台で14、15両日に開催される「第18回全日本学生剣道オープン大会」(全日本学生剣道連盟主催、毎日新聞社など後援、NAX JAPAN、JPロジスティクス協賛)は、国内各地のみならず海外からも1000人以上の選手が集う大規模な大会だ。剣歴が浅く段位を取得していなくても、条件を満たした学生は出場できるため、「スポーツ推薦」を実施していない国公立大からも多数の学生が参加する。大会を間近に控えた今月5日、首都圏のある国公立大では、剣道部員たちが全国の舞台で腕試しができる喜びを感じつつ稽古(けいこ)に励んでいた。【橋本陵汰】
医学部5年生も出場するオープン大会
学生剣道には、個人日本一を争う「選手権大会」と団体日本一を競う「優勝大会」があり、出場校は、高校時代にインターハイなどで活躍した選手が数多くそろう私立大がほとんどだ。強豪がひしめく関東地区も、さまざまな競技で全国トップレベルの成績を上げる筑波大が国立大として存在感を示すものの、今年の男子団体日本一に輝いた国士舘大を筆頭に、中央大、法政大など全国大会の舞台で脚光を浴びるのはやはり私立大が多い。ただ、全日本学生オープン大会は「予選なしのオープンスタイル」で、学生剣士に幅広く門戸が開かれている。今年も和歌山大、熊本大など30を超す国公立大が出場。福島県立医大のように複数の5年生が出場するケースもある。
主体は1、2年生でも言い訳はせず
東京外国語大(東京都府中市)も大会に出場する国公立大の一つ。今年は男女14人が二段以下の部(個人戦)と三段以上の部(3人1組の団体戦)にエントリーしている。岡部滉立(こうた)主将(2年)は「希望すれば誰でも出られる。オープン大会にはチャンスがある」と大会の意義をかみしめる。
スポーツ推薦はなく、3年生の秋ごろから海外へ留学する部員も多い。4年生が最上級生としてレギュラーに名を連ねる強豪大と異なり、1、2年生だけで試合に臨むことも少なくない。しかし、部員たちはそれを言い訳にはしない。岡部主将は、東京大や一橋大が関東代表として優勝大会に出場していることを挙げ、「国公立大でも出場できると証明してくれている。自分たちはまだ及ばないけれど、(全国を)目標にしていきたい」と力を込める。
剣道の輪を世界へ広げる活動も
現在の部員は海外留学中の部員を除いて約20人。このうち4人は海外からやってきた学生だ。入部に際して剣道経験の有無は問わず、短期留学だからといって拒むこともない。岡部主将は「海外からの入学者は剣道に興味があったとしても、経験者ばかりだと入りずらさがあるかもしれない」といい、未経験者でも剣道に取り組める環境を大切にしている。部員の片山昂英(たかひで)さん(1年)は「国境を越えても強い人がいるのだと実感すると、これからの練習での意気込みも変わると思う」とワールドワイドな環境を前向きに捉える。部員や卒業生には、剣道具を抱えて海外へ留学したり、渡航先のアフリカで剣道連盟を発足させるために奔走したりと、剣道の輪を世界に広げるために取り組む人たちもいるという。
大会が間近に迫り、東京外国語大でも日々の稽古に熱が入ってきた。岡部主将は「全国で戦える機会を生かして、選手全員で今後に向けた経験にしたい。留学生にとっても他の海外選手の試合を見ることがモチベーションにつながるだろう」。自身が出場するのは団体戦の男子三段以上の部で、「昨年は決勝トーナメント1回戦で負けてしまった。今年はそれ以上を目指したい」と意気込んだ。
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