佐々木朗希がポスティング 大リーグ移籍で交渉開始へ

佐々木投手は所属するプロ野球のロッテが11月、ポスティングシステムを使った大リーグへの移籍を容認したことを明らかにして、申請の手続きを進めていて、大リーグ機構は9日、ロッテからの申請を受理し、全30球団に佐々木投手を契約可能な選手として通知しました。

ポスティングシステムで大リーグの球団が交渉できるのは45日間で、大リーグ機構によりますと、交渉は日本時間の10日午後10時に解禁され、期限は日本時間の来年1月24日の午前7時までに設定されたということです。

23歳の佐々木投手は3年目のおととしには史上最年少で完全試合を達成したほか、去年はプロ野球の日本選手最速に並ぶ165キロをマークし、今シーズンは自身初のふた桁となる10勝をあげました。

プロ野球では通算29勝15敗、防御率2.10の成績を残していますが、けがなどの影響で規定投球回を達成したことはありません。

一方で、160キロを超える速球や鋭く落ちるスプリットは「世界で最も才能のあるピッチャーの1人」と評価されているうえ、25歳未満のため大リーグの労使協定によってマイナー契約からのスタートとなり、契約金や年俸の額が制限されるため各球団の激しい争奪戦が予想されています。

大リーグ機構のマンフレッドコミッショナーは、佐々木投手の契約は来年1月15日以降になる見通しを示していて、佐々木投手の去就が注目されます。

大リーグではアメリカ、カナダ、プエルトリコを除く国や地域の25歳未満の海外選手やプロリーグに所属して6年未満の海外選手と新たに契約を結ぶ場合は契約金の上限が設定され、マイナー契約しか結べないと定められています。

また、この契約の際に各球団は「国際ボーナスプール」と呼ばれる毎年決まった資金の中で契約金をまかなう必要があり、この資金を使った契約はことしは1月15日から12月15日までと期限が決められています。

佐々木投手が仮にことしの期間内に契約を結ぶ場合、大リーグの30球団の中で、ドジャースが最も多いおよそ250万ドルの資金を確保している一方で、すでに残りの資金が少なくなっている球団や使い切っている球団もあります。

しかし、これが来年1月15日以降の契約になると各球団の「国際ボーナスプール」が来年のものに更新されて資金が増額され、より多くの球団が獲得交渉に参加できるようになり、佐々木投手にとっても契約金が大幅に増えるというメリットがあります。

このため、今月15日までに佐々木投手がどの球団とも契約しなかった場合、16日以降は来年1月14日までどの球団とも契約を結ぶことはできず、マンフレッドコミッショナーが示した見通しのとおり契約は来年1月15日以降となります。

一方で、ポスティングシステムによる交渉期限は45日間で、佐々木投手の場合は1月23日までと決まったため、契約が来年にずれ込んだ場合、1月15日から23日までの9日の間に大リーグ球団との契約を結ぶ必要があります。

「ポスティングシステム」は、海外も含めて自由に移籍先を探せるFA＝フリーエージェントの権利を持たない選手が大リーグに移籍できるようにするため大リーグとプロ野球の間で取り決められた制度です。

この制度では、プロ野球の球団が選手の大リーグ移籍を認めた上で、NPB＝日本野球機構に申請する必要があります。

ことしの申請期間は12月15日までとなっていて、大リーグ機構がNPBから通知を受けると全30球団にポスティングの申請があったことを伝えます。

その後45日間の期限内に獲得を希望する大リーグのすべての球団が選手と直接交渉することができ、交渉が成立して、契約に至った場合はプロ野球の球団に譲渡金が支払われます。

大谷翔平選手をはじめ多くの選手がポスティングシステムを使って大リーグに移籍していて、去年、オリックスからドジャースに移籍した山本由伸投手の場合、契約はピッチャーとして大リーグ史上最高額となる12年総額3億2500万ドルにのぼり、オリックスへの譲渡金は70億円以上とも言われています。

一方で、大リーグ機構と大リーグの選手会が結んでいる労使協定では、アメリカ、カナダそれにプエルトリコを除く国や地域の25歳未満の選手やプロのリーグでの所属が6年未満の選手が大リーグの球団と契約する際には、使える金額のベースとして500万ドル前後の上限が設けられ、マイナー契約しか結べないと定められています。

ポスティングシステムにもこの協定が適用されるためこのオフの移籍市場で高い関心を集めているロッテの23歳、佐々木朗希投手は契約に使われる金額に上限があり、球団に入る譲渡金も大幅に制限されます。