卓越した手腕でファンに愛された知将が、惜しまれながらチームを去った。2018年から7シーズンにわたってサッカーJ1・北海道コンサドーレ札幌を率い、今季限りで退任するミハイロ・ペトロビッチ監督(67)が9日に札幌市内で記者会見。「ミシャ」の愛称で親しまれた指揮官は、来季はJ2で戦う札幌のサポーターや日本サッカー界へ最後のメッセージを送った。会見での主なやり取りは次の通り。【谷口拓未】
◆札幌に関わる方の多大なる支援で素晴らしい時間を過ごせた。長い監督キャリアで最も素晴らしい時間を札幌で過ごせたことを、心から感謝申し上げたい。今季、降格というふがいない結果で終わり、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
――7シーズンで印象深いことは。
◆一つの仕事は達成できたと思う。「攻撃的なチームにしてほしい、見る者を魅了するチームにしてほしい」というクラブの目標があり、それを成すのが仕事の一つだった。攻撃的なサッカーという代名詞のような印象を作れたと思う。
――サポーターについて。
◆うまくいかない時に、それでも応援してくれた札幌のサポーターは本当に素晴らしい。その姿勢を貫いてほしい。長いシーズンでは苦しい時がある。そういう時にこそ応援してほしい。そういうサポーターがいれば、必ず1年でJ1に戻れる。そう願っている。
――Jリーグで指揮した2006年からの19シーズンを振り返って。
◆日本のサッカーは大きく前進している。以前は学校の部活動でサッカーが行われていたが、Jリーグができ、クラブのアカデミーができて、共存しながら選手が育っている。U18(18歳以下)のカテゴリーでプロになれなかった子は、大学で成長できる。受け皿の多さが日本サッカーを発展させた。
19年前に来日した頃、日本の指導者は厳しい方が多く、自分の言ったことを選手にきっちりやらせることを求めていた。
だが、サッカーは決められたことだけでは戦えない。選手は自分で判断しなくてはならない。考える余裕を与えるのは戦術上重要だ。日本の指導者は学び、選手にそうしたものを落とし込み、多くの選手が育った。
日本のサッカーのレベルは上がっている。アジアで日本は頭一つ抜けた状態。Jリーグは世界的に見てもレベルが高い。さらに強くなるために、真剣勝負の場で世界のトップレベルと戦う機会を増やすことは、日本のクラブに必要だろう。
――1日の広島戦後に「監督キャリアを終える可能性が95%」と発言した。
◆19シーズン同じ国で監督として仕事をするのは長く、見ている方もそろそろ飽きてきたのではないかと思っている。監督キャリアを終えるとは、はっきりとなかなか言えない。キャリアを終える段階で少し余力を残していく。このチームならもう1回監督として頑張りたい、というチームからのオファーがあれば受けるというのが、私くらいの年齢の指導者が思うこと。5%残したのはそういうこと。
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