2024年シーズンの明治安田J1リーグが佳境を迎えている。アルビレックス新潟は現在リーグ17位で、J2自動降格ラインの18位磐田とは勝ち点差はわずか”3”。自力残留へ引き分け以上が求められる中、最終節の相手は名門の浦和レッズだ。J1リーグ対戦通算成績は1勝6分24敗と大きく負け越しているほか、アウェーでの勝利はまだない。「鬼門」となる浦和戦だが、唯一となる勝ち星をあげた18年前・2006年の試合を取材した当時のアルビ担当で現在はNST News タッチのキャスターを務める松村道子キャスターに当時を振り返ってもらった。
■18年前の浦和戦勝利の裏側
もう18年も前のことで忘れている部分も多いのですが、映像や手がけた原稿を見ると当時の様子が蘇ってきました。
2006年のホーム浦和戦は、ドイツW杯の中断明けで1か月半ぶりのホーム戦。3万8000人を超えるサポーターが詰めかけました。
当時の浦和は、小野伸二、坪井慶介、田中マルクス闘莉王、そして新潟に移籍する前の田中達也といったスター選手が顔をそろえていました。
そんな浦和を前に、アルビはチーム一丸となった守備を見せます。
身長174cmと、センターバックとしては小柄だったアルビの中野洋司は速さのある田中達也をマーク。「(田中選手が)スピードを上げる前に対処する」と仕事をさせませんでした。
先制点はアルビ。前半12分、三田光のクロスがDFにあたり、ケガから復帰したFWエジミウソンが先制弾。
その後は浦和に攻められる時間帯が続きますが、相手のセットプレーでもアルビは集中。GKの北野貴之は「集中を切らさないように大声で叫んでいた」とコメントしています。
追加点は後半25分、自身がショートコーナーを蹴ったシルビーニョがもう一度ボールを受けてミドルシュートを決めました。
当時の原稿には「“セットプレーのオプションを増やす”という十日町キャンプの成果が形になったゴール」とあります。
後半40分には浦和にセットプレーから1点を返され、その後の後半アディショナルタイムも5分と試合終了のホイッスルまで苦しい時間が続きましたが、最後の最後まで体を張ったアルビが2-1で勝利。
浦和レッズから初めての、そして大きな白星を挙げました。
鈴木淳監督は試合後、「全体を通して選手はよく走っていた。褒めてやりたい」と語っています。
■「絶対にゴールを割らせない気迫」と「サポーターの途切れない声援」
当時の映像を見ると、アルビにはエジミウソンという絶対的なストライカーが君臨していることを感じます。
一方、守備面では、相手のプレーを少しでも遅らせようと体をしっかり寄せていたり、ゴール前で何人もの選手が体を張っていたりと、絶対にゴールを割らせないという気迫を感じさせる場面が多くありました。
また、鈴木淳監督は試合後の会見で「最後の何分か声援が途切れず、サポーターが我々のゴールを守ってくれた」とも述べていました。
ここは今のアルビサポーターと変わりませんし、浦和に勝利した18年前のクラブの歴史には、今季の最終戦を後押しする何かがあるような気がしています。
引き分け以上でJ1残留を自力で決めることができるアルビ。苦手意識を払拭し、残留を勝ち取るためのヒントは18年前にあるのかもしれません。
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